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遺伝子検査サービス続々 選び方のコツと利用の注意点

2017/6/22付 日本経済新聞 夕刊

実習を受けて腕を磨く専門医もいる

唾液を採取し、病気にかかるリスクを調べる遺伝子検査サービスが広がっている。数万円の費用で生活習慣病やがんなど複数の病気を一度に分析してもらえる手軽さが人気の理由だ。ただ、素人が分析結果を理解するのは難しく、専門医の助言が欠かせない。サービスの提供企業ごとに検査結果が異なる問題があるほか、技術の進歩につれて分析結果の解釈が変わる可能性もある。利用する際の注意点をまとめてみた。

「精巣がん、2.45倍」「白血病、2.3倍」「肝臓がん、1.68倍」。1月に遺伝子検査を利用した42歳男性のもとに届いた検査結果には、こうした数字が並んでいた。

「起業した会社のビジネスが軌道に乗り始め、子供も生まれた。守るべき人が増えたので自分が将来抱えるリスクを調べてみようと思った」と、男性は検査を受けた理由を話す。

ただ、発症リスクの数字の受け止め方には注意が必要だ。例えば、1万人に1人の割合で発症する希少な疾病で考えると、発症リスクが2倍と書かれているなら、かかりやすさが1万人のうち2人の割合になることを示す。この程度なら過度に悲観しなくてもよい。

遺伝子検査には、1つの遺伝子の異常により発症する「単一遺伝子疾患」を調べるものと、「SNP(スニップ、一塩基多型)」と呼ばれる個人が持つわずかな遺伝情報の違いを調べるものがある。

前者は脳の一部が萎縮して運動機能が低下する「ハンチントン病」、網膜に発生する悪性腫瘍の「網膜芽細胞腫」など個別に疾病を特定する検査だ。医療行為として認められ、医療保険の適用が受けられるものもある。

最近の例では、2013年に女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんにかかるリスクが高いことを知り、乳房の切除手術を受けた。1つの遺伝子変異からリスクを想定し、手術に踏み切ったとみられる。

一方、消費者向けに提供されている遺伝子検査サービスでは、スニップに基づく検査が多い。検査結果には平均的な発症リスクと、同じスニップを持つ人のグループを比較する。平均と比較するだけなので、単一遺伝子を調べる場合と異なり、確定的な結果を示すものではない。

そもそも「がんのリスクが何倍」と言われても、知識のない素人ではどう受け止めていいのかわからない。「太りやすさなどの体質を見ているようなものだ」と、臨床遺伝専門医の霞が関ビル診療所・熊川孝三氏は解説する。

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