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職場の知恵

「昼寝20分」 働き方改革 午後の仕事、効率アップ

2017/2/27付 日本経済新聞 夕刊

社内に昼寝スペースを設け、社員の昼寝を推奨している(東京都渋谷区のGMOインターネット)

 社員一人ひとりの生産性の向上が求められる中、仕事のパフォーマンスを上げる効果があるとして昼寝が注目されている。実際に、企業の中には昼寝を仕事のサイクルに取り入れることを推奨する会社も出ている。ただ、間違った寝方は、かえって逆効果だという。

 東京都渋谷区にあるGMOインターネット。社内の一角に、同グループ会社のスタッフなら誰でも無料で利用できる、昼寝部屋「GMOシエスタ」がある。

 「スタッフが頭をクリアにし、クリエーティブな発想を生み出す助けをする」(広報)ことを目的に、5年前に開設した。

 ブラインドを下ろした薄暗い部屋には、25台のリクライニングチェアが並べられ、うち4台は女性用。パーテーションで男性用スペースと区切られている。

 昼12時半のオープンと同時に、社員が続々と入室。毎日利用するという吉沢隆之さん(31)は、「寝る時間はだいたい20分。起きた後は頭がスッキリし、仕事がはかどる」と話す。

■米企業が導入

 人間は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」という24時間周期の体内時計の影響で、午後の早い時間帯は眠くなりがち。眠気を我慢して仕事しても能率が上がらないことは、多くの人が経験済みだろう。

 眠気対策に効果的なのが、思い切って昼寝をすること。仕事のパフォーマンスを上げるための昼寝は、英語で「パワーナップ」。米国ではグーグルやナイキなどが導入済みだ。

 睡眠障害に詳しい医師の坪田聡さんは、「昼寝をすると、その後の仕事のパフォーマンスが上がることは、データで証明されている」と指摘する。厚生労働省も、「健康づくりのための睡眠指針2014」の中で、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」と、昼寝を推奨する。

 このように効果を疑う余地はないようだが、間違った寝方だと逆効果になるため注意が必要だ。では、正しい昼寝の仕方とは。

 まず時間帯。坪田さんは、「午後の眠気のピークは2~4時の間にやってくる。その前に昼寝し、眠気を事前に抑えるのがいい」と、昼食直後を勧める。午後の遅くの昼寝は、夜の寝付きを悪くし睡眠不足の原因となるので、避けた方がよいという。

 次に重要なのが時間だ。専門家によると、個人差はあるものの、最長20分に抑えることが理想だ。寝具メーカーの経営者で、快眠プロデューサーの岩田有史さんは、「20分以上の睡眠は、眠りが深くなり目覚めが悪くなる。起きてもしばらく頭が働かない『睡眠慣性』の状態になり、仕事にマイナス」と注意を促す。

 坪田さんも、一般に最長は20分と指摘した上で、「高齢者は、眠りが深くなりにくいので30分とってもいい」と助言する。

■5分でも目つぶる

 逆に短い場合はどうか。坪田さんは、「5分でも10分でも寝ないよりはいい。移動中の電車の中でちょっと寝るだけでも効果がある」と話す。岩田さんも「眠らなくても目をつぶって視覚情報を遮るだけで、休息効果はある」と強調する。

 寝る態勢もポイントだ。ベッドや畳の上で、完全に横になるのはよくない。眠りが深くなりすぎるからだ。「自分の席で、机に突っ伏したり、イスの背もたれにもたれかかったりして寝るのは、実は好ましい姿勢」(坪田さん)。この程度なら、GMOインターネットのように昼寝を推奨している企業に勤めていなくても、昼食後の喫茶店などで個人でも十分に実践できるだろう。

 きちんと起きられるか心配する人もいるだろう。一番簡単なのは、スマートフォンの目覚まし機能とバイブ機能を使い、20分後に起こしてくれるようセットすること。寝る直前にコーヒーやお茶を飲むのも効果的。「カフェインは20~30分後に効果が出るので、ちょうどよい」(岩田さん)

 もっとも、昼寝を習慣づければ、自然と起きられるようになるようだ。GMOの吉沢さんは、「いつも20分で目覚める」と話す。坪田さんは、「短時間の昼寝で午後の仕事の能率が上がれば、残業も減り、働き方改革にもつながる」と話していた。

(ライター 猪瀬 聖)

[日本経済新聞夕刊2017年2月27日付]

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