突変世界 異境の水都 森岡浩之著大阪、異世界へ突然転移

(徳間文庫・900円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

現実世界から地域ごと異世界へと転移してしまう「突然変異現象」を描き、見事日本SF大賞を受賞した『突変』。続編の本書はその前日譚(たん)。

今回は、大阪に本拠地を置くカルト教団と、ヤクザまがいの自警集団が絡み合う。双方とも突変現象による危機感につけこんだビジネスで成功するのだが、大阪方面がホントに転移する。で、どうなったか?

実は大異変が起こったからといって、日常の生活態度に変わりはなく、かえってその愚かしくも泥臭い日常性で、非日常的事態を乗り切ろうとするのだ。コミカルに活写される俗物根性に、猥雑(わいざつ)な生命力のような頼もしさと、さらに爽やかさすら覚えるのは評者だけではあるまい。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2016年12月22日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

異境の水都: 突変世界 (徳間文庫)

著者 : 森岡 浩之
出版 : 徳間書店
価格 : 972円 (税込み)

エンタメ!連載記事一覧
注目記事
エンタメ!連載記事一覧