文明開化がやって来た 林丈二著
挿絵に見る明治の風俗
われわれは、家の中でしばしばスリッパをはく。板の間、フローリングの部屋では、それが常識になっている。また、小学校や中学でも、上靴と下靴を区別しているところは、少なくない。さすがに、畳の上では靴下か素足ですごすけど。
では、いつごろどこで、こういう習慣がひろがりだしたのか。ざんねんながら、そのいきさつをはっきりしめした文献記録はない。だが、明治の新聞挿絵を見わたすと、その経緯がうかびあがってくる。明治20年ごろの挿絵でスリッパがうかがえるものは、病院をえがいた図に多い。遊廓(ゆうかく)の図にも、明治30年ごろから登場する。
生活のうつりかわりを、挿絵の中にとらえようとする、風俗史へいどんだ一冊。
★★★★★
(風俗史家 井上章一)
[日本経済新聞夕刊2016年12月15日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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