タイムボックス アンドリ・S・マグナソン著
現実逃避で未来へ、なにが
表題のタイムボックスは、冷凍睡眠を連想させるタイムマシン。それが一般化した近未来。人々は現実の環境が難しくなると、明るい未来をめざすべく、箱に入る。
一種、現実逃避の装置とも言えるが、経済不況打開のために遂(つい)に活用に踏み切った少女シグルンの家では、なぜか未来世界で目覚めるのは、子供のみ。なにが起こったのか。そして世界は、どう変貌したのか?
アイスランド出身の口承文芸研究家だけあって、SF的な近未来と、謎を解き明かすファンタジー編が違和感なく交錯し、予断をゆるさぬ、想定外の物語が展開していく。時間をめぐる考察が文明への洞察と連動する瞬間に、本書最大の読みどころがある。
★★★★
(ファンタジー評論家 小谷真理)
[日本経済新聞夕刊2016年11月10日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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