ドラマ『校閲ガール』 ひたむきなヒロインに共感
日本テレビ系で放送中のドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(水曜午後10時~)が話題だ。10月5日の初回は12.9%と好発進。2話では11.2%と下降したものの、3話では12.8%と巻き返した。最新の5話でも2ケタを維持している。ドラマ全体の視聴率が伸び悩む中では堅調な推移だ。
原作は宮木あや子の小説「校閲ガール」。出版物の誤りをチェックする校閲者にスポットを当てた。特定の業界の内幕を描く「お仕事ドラマ」は近年、人気のジャンル。出版社が題材のドラマでは編集部を取り上げたものが多い中、今作ではあえて裏方をヒロインにした。プロデューサーの小田玲奈氏は「知名度は高くないが、職人的な役割を果たしている。関心を持ってもらえると思った」と話す。「こんな重要な仕事をしている部署があることを知らなかった」との声も多いという。
見どころの一つになっているのが石原さとみ演じる主人公、河野悦子の服装だ。ファッション誌を希望して出版社に入社しながら校閲に配属されたという設定で、おしゃれが大好き。場面ごとに全く違うテイストの服を着こなす。小田プロデューサーは「通常、主人公に色をつけるため、服装は同じテイストに統一するが、今作はあえて、コロコロ変えることでキャラクターを際立たせた」と明かす。
演出では字幕を多用しているのが印象的。登場人物が話した言葉をそのまま字幕にしたり、その文字に赤字を入れる効果をつけたりと、校閲という設定を生かした工夫がのぞく。実は小田プロデューサーは長年、字幕を多く使うバラエティー番組や情報番組を担当していた。その経験が生きている。
ファッションに字幕。ビジュアルの特徴が際立つが、魅力はそれだけではない。河野悦子はおしゃれにしか興味がなく、漢字もろくに読めない。校閲の仕事を面白くないと思っているが、それでも決して手は抜かない。小田プロデューサーは「ほんとうにやりたい仕事をやれている人は少ない。自分の居場所でないと思っても本気で取り組む。そうすれば自分をほめていいと思ってもらえる作品にしたかった」と語る。主人公のひたむきな姿に共感する視聴者も多いようだ。
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[日本経済新聞夕刊2016年11月9日付]
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