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野外劇の雄、平城京駆ける 「維新派」最終公演

亡き主宰者しのぶ

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NIKKEI STYLE

壮大な野外劇で知られる劇団「維新派」(大阪市)が14~24日、奈良市の平城宮跡で国内での最終公演を開く。主宰者の松本雄吉氏が6月に死去。追悼の意も込めた海の移民の物語だ。

9月15日、平城宮跡の草地に大量の敷板が運び込まれ、野外劇場の建設が始まった。これまでの公演と同じように作業に当たるのは劇団員たち。並行して上演作「アマハラ」の稽古が進む。時報のようなリズムを刻む音を流し、約30人の俳優たちは本番さながらの幾何学的な動作を繰り返す。

維新派は1970年、演出家の松本氏を中心に旗揚げした。セリフを単語に解体し、変拍子に乗せて語る独特の表現スタイルは「ヂャンヂャン☆オペラ」と呼ばれた。しかし、松本氏の死去を受けて劇団は解散を決定。この協議の中で、劇団員は「自然消滅ではなく、私たちで終わらせる」と最終公演の開催を決めた。

劇場自体が芸術

実は平城宮跡での公演は松本氏の20年来の念願だった。「1300年前、奈良はユーラシア大陸に向かって門戸を開き、シルクロードの終着点となった」とこの地への思いを熱く語り、「アマハラ」の場面構成表と創作ノート2冊を残した。構成表には「廃船」をイメージした劇場デザインも記していた。

今回の野外劇場は船首部分が舞台(間口約22メートル、奥行き約36メートル)で、船尾が客席という構造だ。舞台両脇には船の側面を支える骨組みを模した柱がオブジェのように立ち並ぶ。客席から舞台を望めば、なだらかな生駒山が視界に入る。

劇場自体が一つの巨大な美術造形といった趣がある。松本氏は生前、常にどんな風景を観客に見せられるかを考えていた。昨年10月、平城宮跡を視察。「夕刻に開演し、生駒山に沈む夕日を舞台背景に取り込みたい」と語っていたという。

「アマハラ」は2010年、瀬戸内海の犬島(岡山市)で上演した「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」の改訂版だ。戦前、日本からサイパンやフィリピンのミンダナオ島など南方の島々に渡った人々を描く。松本氏は遣唐使を送り出し、大陸文化の玄関口となった平城宮跡のイメージが作品に合うと判断。「台湾の」をベースにしながらも「新作と見まがうばかりの作品にする」と意欲を燃やしていた。

未完だった脚本は劇団員の平野舞ら7人がチームを組んで執筆に当たった。松本氏が残した構成表に基づき10の場面から構成。「台湾の」から6つの場面をカットし、3つを新設。一部は入れ替えた。

平野は新脚本のポイントとして「台湾の」では中盤だった「おかえり」を最後の場面にもってきたことを挙げる。冒頭の「なみうちぎわ」は日本の少年たちが漂着物を読み上げ、南方への旅へいざなうところから始まる。太平洋戦争をはさみ、最後の「おかえり」は季節の移ろいを告げる言葉をちりばめ、女性たちが1人の男性に「お・か・え・り」と語りかける。「物事の連関を意識しつつ、移動や旅をより強調する構成になる」と平野は話す。

海外公演も検討

振り付けも大きく変える。「台湾の」の野外劇場は多島海をイメージして様々な形の舞台をつなげていた。今回は左右対称の舞台で俳優の立ち位置もシンメトリー(対称性)を重視。舞台上を動く時間まで入念にチェックし、スピード感あふれる物語に仕上げる。

俳優たちはモノトーンを基調とした衣装に白塗りのメイクで出演する。フィリピンに渡った日本人が熱帯林の道路建設に従事するくだりでは、巨大な装置が舞台に登場して物語を盛り上げる。音楽は長年、松本作品を担当してきたギタリストの内橋和久が務める。内橋は稽古を見守りながら「これまで同様、いろんなことを想起してもらえる音にしたい」と想を練る。

維新派は既存の演劇の枠にとらわれない独特の世界観で一時代を築き、国外でも高く評価された。「アマハラ」を来年、海外で上演しないかとの打診も受けており、実施するかどうか検討中だ。当初は松本氏をしのぶ会を別途催す予定だったが、劇団によると、国内最終公演そのものをしのぶ会とし、会場内に松本氏をしのぶ場も設けるという。

(編集委員 小橋弘之)

[日本経済新聞夕刊2016年10月3日付]

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