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やせる糖尿病薬、私に合う? 血中の糖分を尿へ排出

体力あって太めなら選択肢に

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NIKKEI STYLE

 代表的な生活習慣病のひとつ、糖尿病にここ数年、新たな治療薬が登場している。中でも血液中の糖分を尿へと排出して血糖値を下げるタイプは「やせる糖尿病薬」として注目され、複数の医薬品会社から相次いで発売された。ただ、治療薬はタイプによって働き方が異なり、患者によって向き不向きもある。生活習慣の改善とあわせて、患者の症状に合わせた治療への取り組みが進む。

中高年に多い2型と呼ばれるタイプの糖尿病を患う48歳の女性患者はBMIが34.8と肥満体形で、2種類の糖尿病薬を服用していたが、なかなか血糖値が下がらなかった。しかし新しく発売された糖尿病薬を追加したところ、6カ月で体重が5.3キログラム減少。血糖の状態を示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値は、糖尿病学会のコントロール基準で「不良」とされる7.5%から「良」とされる6.4%へと大幅に改善した。

使用したのは2014年に最初の製品が発売された「SGLT2阻害薬」と呼ばれるタイプの治療薬だ。体内の過剰な糖を尿として排出する飲み薬で、発売された当初、「やせる薬」と話題になった。対象になる2型の糖尿病はもともと食事や運動など生活習慣の改善が大切だ。治療薬でやせられる、という点が、生活習慣の改善に苦労する患者に注目された。

ただ、東京医科歯科大学の小川佳宏教授は「薬を飲みさえすれば、何を食べてもいいというものではない」と注意を促す。あくまで食事や運動などの生活習慣の改善が前提になるというわけだ。

「糖尿病の初期で、生活習慣を改善してもうまくいかない人などに向いている」と昭和大学の長坂昌一郎教授は説明する。これまで生活習慣を改善しても効果が見えにくかった患者が、薬の効果で体重が減り始めることで、生活改善に取り組む意欲を引き出す、といった効果などが期待できる。

◇     ◇

新しく登場したSGLT2阻害薬は、これまでの糖尿病薬とは働き方がまったくちがう。従来の薬は血糖値をコントロールするインスリンの分泌を増やしたり、働きを促進したりして血糖値を下げていた。しかしSGLT2阻害薬は腎臓で血液からいったん不要物と一緒にこし取られた糖分が再吸収されて血液に戻るのを妨げることで血糖値が下がる。血液に戻れなくなった糖分は尿と一緒に体外に排出される。

インスリンと関係なく働くのが特徴で、効果的に使えば体重を減らしてインスリンの効き目を回復できる可能性がある。インスリンを使っても血糖値が下がらなかった人が改善する例もあるという。

一方で、従来の糖尿病薬とは異なる注意も必要だ。糖分が減るため脂肪が減って体重が落ちるが「脂肪だけでなく筋肉まで分解される可能性がある」と小川教授は指摘する。

筋肉が減るとインスリンが効きにくくなるほか、高齢者などでは筋肉の力が落ちて生活に支障が出る心配もある。高齢者ややせ形の体形の人には向かないとされるのはこのためだ。1型の糖尿病患者のようにインスリンを作ることができない患者への投与も危険とされる。

また尿が増えるなどして脱水症状を起こしやすくなり、からだの水分が少なくなることで脳梗塞などのリスクも高くなる。尿中の糖分が増えるため尿路感染症や性器感染症などにかかりやすくなる心配もある。紅斑ができるなど皮膚に副作用が出るという報告もされている。

◇     ◇

一方で、先行して発売されている欧米での研究などから、プラスの効果がある可能性も見えてきた。心不全などの心血管系の合併症を減らしたり、腎臓の機能が悪くなるのを遅らせたりするといった効果も見られるという。

こうしたことから「比較的年齢が若くて体力があり、太り気味の患者」がSGLT2阻害薬に向いた患者とされる。また症状が進んでから使うよりも、早い段階で使う方が効果があると考えられている。高齢の糖尿病患者も増えているが「60歳代になると個人差が大きいが、元気で体力があれば75歳くらいまでは使えるのではないか」と長坂教授は話す。

国内の糖尿病患者は厚生労働省の「患者調査」で316万6000人に達し、さらに増える傾向にある。生活習慣と関係の深いとされる2型糖尿病は、患者によって同じ治療でも効果が異なることも少なくない。これまでと働き方が違う新たな治療薬の登場は、治療の幅を広げたことは間違いない。生活改善と合わせて、医師の指導に注意しながら服用したい。

◇     ◇

治療の幅広がる

血液中の糖分が多くなり様々な症状が出る糖尿病は、インスリンを作る膵臓(すいぞう)の細胞が働かなくなった1型と、インスリンを作る力が落ちたり効きにくくなったりする2型に大きく分けられる。2型は生活習慣とも深く関わっていると考えられ、患者によって症状や治療による効果が異なることが多い。

糖尿病学会などでは、一人ひとりの患者に合わせた血糖値のコントロールや治療を勧めている。血糖値が下がりすぎる低血糖症が重くなると意識障害が起きたり、命に関わったりする場合もある。このため高齢者などでは目標の血糖値を高めに設定して、低血糖を予防するなどしている。

現在使われている糖尿病の内服薬は大きく分けて3タイプ7種類。1990年代に肝臓などでのインスリンの働きを改善するチアゾリジン薬や炭水化物の吸収を遅らせて食後に血糖値が高くなるのを抑えるα―グルコシダーゼ阻害薬(α―GI)などが登場。さらに2009年にはインスリンの分泌を促進するなどの働きがあるDPP-4阻害薬も加わって、治療の幅を広げてきた。最近はDPP--4阻害薬やビグアナイド薬などから使い始め、症状にあわせて変えていくことが多いという。

ただ既存の内服薬の大半はインスリンに関係して効果を発揮するが、効果には限界もある。新たに加わったSGLT2阻害薬はインスリンに関係なく働くため、比較的若い患者を中心に治療の幅を一層広げる効果が期待される。

(小玉祥司)

[日本経済新聞朝刊2016年9月11日付]

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