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長引く胃もたれ、機能性胃腸症の可能性も

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NIKKEI STYLE

 食後の胃もたれや、わずかな食事での満腹感、みぞおち辺りの痛み――。胃の調子が悪いのに内視鏡などで調べても異変が見つからない。そんな人は「機能性ディスペプシア(FD=機能性胃腸症)」かもしれない。専門医に診てもらい、早めに治療に取りかかりたい。不快感が長引く人は胃がんなど深刻な病気が隠れている可能性もある。我慢できるからと放っておかず、まずは病院に行こう。

都内在住の40代女性は半年前から、みぞおちの辺りに痛みを感じるようになっていた。定期的に人間ドックで上部消化管の内視鏡検査を受けたが、異常は見つからなかった。そのままにしていたが、症状はひどくなるばかりだった。

改めて消化器内科の外来を受診したところ、FDと診断された。薬で症状は改善した。女性は20代から食後の胃もたれを自覚していたが、FDとは思わなかった。

FDは「消化不良」を意味するギリシャ語を語源とする。食後の胃もたれやみぞおちが焼ける感覚、少し食べただけで満腹になるといった症状があり、人によっては吐き気などが伴う。命に影響はないが、つらさや不快感があり、生活に支障が生じる。若い女性に多いが理由は不明だ。

慶応義塾大学病院消化器内科の正岡建洋専任講師は「FDは内視鏡やレントゲンなど通常の検査では異常が見つからない。みぞおち周辺に症状を認めることで診断される」と話す。

◇     ◇

かつては神経性胃炎や、胃アトニーといわれ、慢性胃炎と診断されることが多かった。だが、2013年に慢性胃炎とは区別されて正式な診断名として認められた。慢性胃炎でも炎症が見つからない場合があるが、胃もたれのような症状があればFDと診断するようになった。健康診断の受診者10人のうち1人がFD患者といわれ、増えているとみられている。

原因は複数あり特定は難しいが、ストレスやそれに伴う不安が発症に大きく関わる。

内臓の働きは自律神経が制御しており、過度なストレスで自律神経のバランスが乱れてしまう。消化した食べ物を胃から十二指腸に送り出せず、胃にとどまり、胃もたれを感じる。すぐにおなかがいっぱいになり、時間がたつとみぞおちに痛みを感じることもある。胃がきちんと機能しない場合のほか、知覚過敏、遺伝も原因となる。

正岡専任講師は「胃もたれなどの症状が週1日以上あり、3カ月程度続くとFDの可能性がある」と指摘する。不調が長引けば、胃がんや胃潰瘍が隠れている恐れがある。我慢せずに近くの病院に行こう。

問題なのはFDは内視鏡でも炎症などが見つからず、診断が難しい点だ。かつては、病院で「気のせい」と見過ごされることも多かった。ただ症状は収まらないので、患者は他の病院を転々とする事態になる。

FDは検査でさまざまな病気の可能性を除外して初めて診断できる。内視鏡で異常が見つからなくても、辛抱強く不調の相談に乗り原因を考えてくれる医師の存在は重要だ。筑波大学の鈴木英雄准教授は「適切な治療には医師との信頼関係も大切」と話す。

治療は入院の必要がなく、薬物療法がふつうだ。胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬や胃の働きを良くする薬のほか、漢方薬もある。13年には消化管の働きを促して胃もたれなどの症状に効くとされる日本製の新薬も発売された。最近はピロリ菌除菌で症状が改善すれば、ピロリ関連ディスペプシアと診断される。

鈴木准教授は予防法として「食事や生活習慣の改善が大事」と話す。脂質や刺激の強い食べ物の食べ過ぎは避け、栄養のある食事をして十分な睡眠をとる。規則正しい生活を送り、なるべくストレスをためないよう心がけよう。

最近の研究では、顕微鏡でみないとわからない微小な炎症が症状の引き金になる可能性があることも分かりつつある。病気の原因となる遺伝子があるとの見方も出ている。詳細な仕組みを解き明かす基礎研究も進んできた。

見た目では分からない病気のためか軽視される傾向もあったが、最近は海外を中心に研究も活発になっている。慶応大病院の正岡専任講師は「日本でも今後、注目度がさらに高まっていく」とみている。

◇     ◇

下痢など仕事に支障も

内視鏡などで消化管に異常が見つからないものの、機能に問題がある病気をひとくくりに「機能性胃腸障害」と呼ぶ。これにはFDのほか、「過敏性腸症候群(IBS)」と「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」が含まれる。このうちIBSはビジネスマンに多く、仕事に支障をきたすためやっかいだ。

IBSの患者は10人に1人いるといわれる。腹痛に加え、便秘や下痢などの症状が出るが、FDと同じように内視鏡検査などでは腸に異常が見つからない。

筑波大の鈴木准教授は「男性は下痢、女性は便秘の症状が出る場合が多い」と話す。男性は20~30代の働き盛りに多い。1日に何度もトイレに駆け込むので仕事に支障が生じる。

FDと同様にストレスなどが発症に関わり完治が難しい。会社の会議や行事で悪化し、休日に症状が軽くなる。脳の働きが発症に関連するとの研究報告があるが、明確な予防法はない。慶応大病院は健康な人の便をIBS患者の大腸に移植して望ましい腸内細菌を増やす「便移植」という治療法を研究している。

鈴木准教授は「会社組織で考えるとFDは役員、IBSは中間管理職に多い印象」と話す。社会人にとってストレスと無縁の生活を送るのは難しいが治療薬もあり、体の異常を察知したら、なるべく早く病院に足を運びたい。

(山本優)

[日本経済新聞朝刊2016年8月21日付]

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