落陽 朝井まかて著
胸を打つ明治の人々の志
献木10万本、勤労奉仕のべ11万人、完成は150年後――この数字を見て何のことかお分かりの方は、そういないだろう。
答えは、明治神宮創建に関わる見積りである。
今年の朝井まかては、『眩(くらら)』『残り者』と傑作揃(ぞろ)いだが、ここにまた新たな傑作が誕生した。
明治天皇崩御に際し、渋沢栄一らは、神宮を帝都に創建すべしと主張するが、帝大講師・本郷高徳は、風土の適さぬ土地に森を造るのは不可能と反論。しかし、いったんことが決まるや、湊川へはせ参じた楠木正成の気迫をもってこれに当たる。
脇の人物も生き生きと躍動し、明治を生きた人々の志が胸を打つ絶対の感動本。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2016年7月28日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。