タングステンおじさん オリヴァー・サックス著
少年時代の化学への傾倒
脳神経科医として有名なオリヴァー・サックスの一風変わった自伝的エッセイ。どのページにも彼がこよなく愛した「鉱物」や「元素」がきらびやかに登場し、明るいとは言い難い彼の少年時代を彩っている。
題名の「タングステンおじさん」というのはタングステンを扱う会社を経営していた彼のおじで、幼いサックスをめくるめく鉱物の世界に引き込んだ張本人だ。
サックス少年の化学への傾倒は恋慕の熱さにも似て、微笑(ほほえ)ましいというより、なんだかむしろ暑苦しい(失礼!)。
それでも、医学エッセイの名手として謳(うた)われた彼ならではの筆で、読む人を元素の海深くへと誘ってくれる。待望の文庫化だ。
★★★★★
(サイエンス作家 竹内薫)
[日本経済新聞夕刊2016年7月21日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。