スマホ電池、長寿のコツは?
画面の光度抑えて機能吟味
画面の光度抑え機能吟味
急いで家を出たので予備の電源を持ち合わせていない。オフィスならまだしも、出先や移動中は充電もままならない。こんな経験をした人は多いだろう。
スマホ評論家の新田ヒカルさんは「液晶モニターの光量調節が省電力の最大のポイント」と話す。スマホの消費電力で最も大きいのは実はモニターの光。全体の半分以上を占めることもある。これを減らせば効果は大きい。方法は大きく2つある。
まずは画面の明るさ調節。iPhoneの場合は「設定」→「画面表示と明るさ」、Androidは「設定」→「ディスプレイ」→「画面の明るさ」と進む。光度を落とせば消費電力を減らせる。
もう一つは画面がロックする間隔を短くする方法だ。最後に操作してから画面が暗くなるまでの時間を短くして電力の浪費を防ぐ。iPhoneは「設定」→「一般」→「自動ロック」、Androidは「設定」→「ディスプレイ」→「スリープ」と選ぶ。30秒、1分など段階的に設定できる。いずれも機種によって手順が異なる場合がある。
スマホは画面から見えないところでアプリケーションソフト(アプリ)が動いていたり、外部と通信したりしている。こうした機能を、支障がない程度に制限するのも節電につながる。
例えば、家庭で使うことが多い無線通信のWi-Fiを外出時にはオフにする方法。スマホは一定間隔でWi-Fi電波を検出しようと常に動いており、その際にバッテリーを使う。自宅を出たらWi-Fiをオフにすればこうした動きが止まる。
使っていないアプリをこまめに切る、もう使わないアプリはアンインストールするなども効果があるが、新田さんは「その前にどのアプリがどれだけ電力を消費しているかを見極めてほしい」という。
最新のiPhoneの場合は「設定」→「バッテリー」でアプリごとの電力使用割合が表示される。普段は使っていないのに電力消費が多いアプリは優先して切った方がいい。ただ、アプリは再起動時にも電力を使うので、使用頻度と消費量のバランスを考えながら判断しよう。
それでもバッテリーが残りわずかになったら。新田さんは「機内モード」を勧める。ネットや電話などすべての通信がオフになるが、消費電力も極限にまで抑えられる。最後の手段として覚えておいてもよさそうだ。
残量90~40%が理想的
スマホに使うリチウムイオン電池は軽量小型で大容量が特長だが「過充電」「過放電」「高温」に弱いのが欠点だ。特に電池残量がゼロに近づく過放電をどう防ぐかが、長持ちのポイントになる。
電池工業会(東京・港)の新井田茂秋部長は「最低でも30%を切らないよう、こまめに充電してほしい」と助言する。リチウムイオン電池は過放電が続くと劣化し、充電容量が減少するからだ。
「残量ゼロにしてから充電すると長持ちする」と考える人もいるが、これはニッカド電池やニッケル水素電池時代の話。充電を繰り返す「継ぎ足し充電」もよくないといわれたが「リチウムイオン電池では充電の回数自体はあまり問題にならない」(新井田部長)。電池の残量を「90~40%の幅に収まるように充電をコントロールするのが理想的」という。
充電しすぎも劣化につながるが、最近は一定以上の充電を防ぐ保護回路を備えたスマホが増えた。長時間は避けたいが、寝ている間の充電くらいなら問題ないようだ。
リチウムイオン電池は充電中も放電中も熱を発する。高温が続けば劣化が加速する。「充電しながら電話を掛ける」といった使い方は発熱が重なるので避けた方が無難だ。
スマホ電池を使いこなすには細心の注意が必要だ。気にしすぎて人間が消耗しないよう、こちらも要注意。
(田辺省二)
[日経プラスワン2016年7月9日付]
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