テレ朝系「あいつ今何してる?」 アルバム開きたくなる
日常のふとした瞬間、学生時代の友人の顔が浮かぶ。そんな経験をしたことがある人も多いだろう。テレビ朝日系の「あいつ今何してる?」(水曜午後7時~)は、ゲストの芸能人の思い出の人々を探し出し、VTRでその今を伝えるバラエティー番組だ。昨年10月にスタート。深夜ながら視聴率5.6%(関東地区)を記録するなど人気を博し、半年でゴールデン帯(午後7時~10時)に進出。4月6日放送の初回は同時間帯トップの11.8%を獲得した。
番組誕生のきっかけは、担当する芦田太郎プロデューサーの個人的な体験だった。高校時代の友人の結婚式に出席した際、今は付き合いのない仲間の話で盛り上がった。「自分で調べるほどではないけど、妙に何しているか気になった」。懐かしの恩師らと引き合わせるテレビ番組は昔から珍しくないが、少しだけ気になる人の今を追う点に新しさがある。
番組は芸能人が卒業アルバムを持参し、写真を見ながら思い出を聞くところから始まる。誰のその後を調査するかが重要なポイントだ。「細かなエピソードまですべて聞き取るため、打ち合わせには最低でも1時間はかける。40人以上の名前が挙がることもある」という。
しかし実際に、「取材に応じてくれる人はごくわずか」。さらに、その人の今を多面的に伝えるため職場や家庭など様々な場面を撮影する必要があり、「ロケをするまでに最低でも3週間以上はかかる」。総勢30人超のスタッフが同時並行で、取材と撮影を進めている。
学校一の秀才、憧れの人、ムードメーカーなど実に様々な人が登場。それぞれが歩んできた人生も興味深いが、あくまで主役はVTRを見る芸能人だ。どの知人を訪ねたのかは事前に伝えない。本番で初めてVTRを見せることで、素直なリアクションを引き出す。「出演者をどう楽しませ、驚かせるか。結婚式のサプライズビデオを作る感覚に近い」
芸能人の友人とはいえ、視聴者はまったく知らない人たちだ。「内輪の話で、初めは番組として成り立つのか不安だった」という。しかし、実際には卒業アルバムを久しぶりに開いたという感想が寄せられた。自分の友人たちを重ね、思い出に浸る人たちも多いようだ。
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[日本経済新聞夕刊2016年5月11日付]
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