看護師、ペアで負担軽減 医療ミス防止や離職抑制

看護師が2人1組で患者のケアをする「パートナーシップ・ナーシング・システム」(PNS)が注目を集めている。1人で複数の患者を担当する従来型の体制と比べ、一人ひとりの負担が軽くなったり、超過勤務の時間が減ったりするという。離職率の抑制や医療ミスの防止につながるといった効果も期待される。

9月中旬、福井大学病院(福井県永平寺町)の消化器外科病棟で、男性患者の状態を2人の看護師がチェックしていた。看護師7年目の池田梨恵さん(27)と3年目の井上愛萌さん(23)。池田さんが血圧や脈拍を測り数値を読み上げ、井上さんがパソコンに入力していく。患者の体を起こす際にも、2人で協力して体を持ち上げた。

抗がん剤の副作用で入院していた女性患者(62)は「1人で忙しそうな看護師より話しかけやすい。お願いの後に返事が2人分返ってくるのも安心」と話す。

PNSは看護師が2人1組で複数の患者を担当する方式。福井大学病院は2009年に消化器外科で導入し、その後全病棟に広がった。看護師間の連絡ミスによるトラブルをきっかけに、上山香代子師長が考案した。

■若手教育の場に

2人1組で患者約10人を担当する岩手県立宮古病院(岩手県宮古市)

消化器外科の看護師は約40人。以前は1人が6人ほどの患者を受け持っていたが、PNSでは2人で10人程度をみる。特定の患者を持たずに薬の準備などの業務にあたる役割を無くし、ほぼ全員が受け持つ体制にしたことで増員などの必要はなかった。業務の効率が上がり、超過勤務の削減にもつながったという。

作業中に別の患者からナースコールで呼ばれても、作業が中断しない。以前は午前中に測った患者の体温や血圧の記録が夜になることもあったが、導入後はその場で入力が可能になった。

ペアの相手は力量や経験年数を考慮して組まれ、教育の一環にもなっている。3年目の井上さんは「わからないことをその場で聞け、現場で技術を学べる」と話す。10年には約6%だった看護師の離職率が、12年には4.3%に下がった。

橘幸子看護部長は「長時間勤務による慢性的な疲労が減り、超過勤務や離職率などが大幅に改善した。医療の質向上にもつながっている」と話す。

「点滴チェックしましょう」「漏れなし。速度も大丈夫です」。岩手県立宮古病院(岩手県宮古市)は昨年11月、PNSを導入した。従来は1人が5~6人の患者を受け持っていたが、2人で約10人の患者を担当する方法に変更した。

同病院は昨年4月、病棟と病床を再編。この際に配置換えも実施し、医療事故につながりかねない事例(インシデント)が目立つようになったといい、導入を決めた。

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