みんなで10分、気軽に体操 職場や地域で習慣に

■3分間でも効果

藤沢市よりも一足早く、地域の健康対策の一環で簡単な体操の普及に乗り出したのは島根県雲南市だ。阿用地区では「アヨさん体操」が広がっている。10分と言わず「3分間で、いつでも、どこでも、だれでも手軽にできる」がうたい文句だ。きっかけは市立の身体教育医学研究所うんなんの北湯口純主任研究員と、地区のリーダー的存在の70代男性との会話だった。

男性の父は長年、膝の痛みに悩まされていた。父の死後、健康によいなどとして売られている食品が大量に見つかって男性は衝撃を受けた。日ごろから体操していれば痛みも軽減できたのではないか――。そんな思いから、膝や腰の痛みを持つ人に的を絞り、北湯口主任研究員らと生み出したのがこの体操だ。

伸び、手首と足首回し、脚の裏伸ばし、ふくらはぎ伸ばし、スクワットなどを組み合わせた。立って実施するものと座ってできるものがある。時間は短くても毎日朝、昼、晩と3回やればかなりの運動になる。「簡単な動きでも意味があるんだ、と実感してもらうのが大切だ」(北湯口主任研究員)

雲南市では阿用地区を含む9地区で似たような体操や運動が普及している。地域の世話役などが会合で体操を始めたり、「もう少し歩こう」と歩行を奨励したりする。次にその会合の参加者のうちの何人かが中心となり、別のグループで体操などを始める。これの繰り返しで、地域の人たち全体に体を動かす習慣やアイデアが広がっていく。

都市部では高層ビルに籠もりきりの人も多い。身体教育医学研究所うんなんの立ち上げにかかわった鎌田真光・米ハーバード大学博士研究員は、「お昼に10分くらい散歩に出たいのに職場の雰囲気で出づらいという経験をした人は多いのでは」と問いかける。ハードルを下げ、背中をポンと押すきっかけ作りを「個人も自治体も企業も工夫してほしい」と呼びかける。

(編集委員 安藤淳)

〈ひとくちガイド〉
《インターネット》

◆適度な運動などによって健康寿命をのばすための様々な活動を知るには
厚生労働省が進める「スマート・ライフ・プロジェクト」(http://www.smartlife.go.jp/
◆健康・体力向上に役立つ体操を紹介
健康・体力づくり事業財団「ご当地体操」のページ(http://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/taisou/index.php

[日本経済新聞朝刊2014年9月14日付]

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