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交通死より多い、高齢者の転倒防げ 医師らが学会

2014/9/5 日本経済新聞 夕刊

 転倒が原因で亡くなる人は年間7千人を超え、交通事故死を上回る。高齢者の場合は介護が必要な状態になったり、認知症の進行につながったりと健康に重大な影響を及ぼすことがあり、甘く見るのは禁物だ。今年4月には医師らが日本転倒予防学会を立ち上げ、「転倒を社会全体の問題ととらえ、予防に取り組む必要がある」と訴える。
水戸黄門のテーマ音楽に合わせて転倒予防のための体操に取り組む(7月、群馬県館林市)

 「お相撲さんになったつもりで四股を踏んでください」。7月末、群馬県館林市の公民館で、地元の高齢者約30人がドラマ「水戸黄門」のテーマ音楽に合わせて体を動かした。講師の掛け声に合わせて左右交互に足を踏み出したり、突っ張りのように手を突き出して前進したり――。笑い声が広がる中、約30分間にわたる運動が続いた。脚力やバランス能力を高めることで、転ばない体づくりをするのが狙いだ。

■交通死より多く

 主催は館林市の慶友整形外科病院。「転倒骨折予防教室」と名付け、医師や作業療法士らが定期的に近隣の市町村をまわり、高齢者に体操や体力測定などを行う。活動を始めて10年以上になるという。参加した同市の新井すみ子さん(76)は「自分の体の状態を知ることができた。一人暮らしだから転倒でけがをしたら大変。運動は大事」と話す。

 厚生労働省の人口動態統計で日本人の死因をみると、不慮の事故のうち転倒・転落死は増加している。2012年は7761人で前年比75人増、00年比で約1500人増えた。減少傾向にある交通事故死(12年6414人)を上回る。全体の85%が65歳以上、60%が80歳以上だ。

 転倒をきっかけに寝たきりなど深刻な事態になることも多い。厚労省の13年の調査によると、高齢者が介護が必要になる主な要因として、転倒・骨折は脳卒中や認知症と並び上位を占める。「また転ぶかもしれない」「家族に迷惑がかかる」などと外出を恐れて家にこもるようになったり、認知症が進行したりする人も少なくないという。

 館林市の教室は、普段から転倒しないような体作りや意識づけをしてもらおうという狙い。同様の取り組みは東京都荒川区の「荒川ころばん体操」など全国に普及している。

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