気軽に相談「ネットのかかりつけ医」 症状検索も
医療関係者向けのサイトを運営するエムスリーが手掛ける会員制サ-ビス「アスクドクターズ」は月額300円(税別)で現役医師に体の不調を相談できる。2005年12月にサービスを開始し、現在の登録者数は約30万人に上る。同サイトを担当するコンシューマーマーケティンググループの熊野整グループリーダーは「かかりつけ医がいれば気軽に相談できるが、そういう関係になければ難しい。そうした人たちが気軽に相談できるサービスを目指した」と話す。
写真付けて具体的に
利用者が相談内容を投稿すると、サイトに登録しているボランティアの医師が回答する仕組みになっている。写真を添付できるので、患部の状態が具体的に伝わる。投稿は24時間受け付け、匿名での相談も可能だ。医師の登録数は様々な専門分野の約2000人に上り、回答率は1時間以内に40%、12時間以内に90%となっており、素早い回答が期待できる。
医療行為ではないため、相談内容から病名を診断されることはないが、どこの診療科に行った方がいいなどのアドバイスを受けられる。利用者の83%が女性で妊娠や出産、子どもの体調不良に関する相談が多いという。
病院で一度受けた診断が正しいかどうか、相談をするケースもある。同社によると、病院でがんと診断された利用者が症状や診断内容を投稿したところ、回答した医師が「診断は間違っているのでは」と疑問を投げかけた。利用者が再検査したところ、最初の診断結果に誤りがあると分かったという。
過去の相談内容はQ&A形式でまとめられており、相談しなくても検索できる。件数は1千万超といい、「ほとんどの症状に対応できるはず」(熊野氏)という。
「Yahoo!家庭の医学」はかつて家の本棚に置かれていた「家庭の医学」がスマートフォンで利用できる無料アプリだ。インフルエンザや子どもがかかりやすい病気など約570件の症状や治療法が載っている。
「首・肩」「おなか」といった体の部位や「子供の病気」などに分類された16種類のカテゴリーの中から気になるものを選ぶと、該当する症状から可能性がある病気を探せる。ある程度病名が分かっている場合はキーワード検索も可能だ。
書籍版との最大の違いは病院検索機能だ。現在地周辺で該当する病気に対応する診療科がある病院が表示される。なじみのない初めての病院に行くのは不安だが、口コミが掲載されているのである程度の目安になる。
メールでもやりとり
サイバーエージェント子会社のサイバー・バズが運営する「ドクターズミー」は、現役医師や薬剤師などのアドバイスを受けることができる月額300円(税別)の有料アプリ。相談1回につき100円(同)の都度課金プランもある。医師は女医が中心で、平均30分程度で回答が得られるのが特徴だ。
「子供の病気・育児の悩み」や「妊娠・出産」など9分野から相談内容を選べるほか、Q&A方式の公開掲示板に書き込むかメールで非公開のやりとりをするかを選べる。
紹介した以外にも病気の相談や内容検索ができるサイトやアプリはある。気になる症状を早めに調べることで大きな病気を早期に発見できるかもしれない。思い込みや自己判断は禁物だが、健康管理の良きガイドとして活用してはどうだろうか。
(電子整理部 三宅一成)
[日本経済新聞夕刊2014年9月4日付]
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