脱緊張 家庭や職場でリラックス上手になる5カ条

取引先でプレゼンテーションを担当したとき、緊張しすぎて準備したことの半分も話せなかった。休憩時間なのに気持ちが落ち着かず、疲れがとれない。どうしたらもっとリラックス上手になれるのだろうか。重要なことは、緊張とリラックスを上手に切り替えるコツ。仕事や家事の合間など、TPOにあわせた簡単なリラックス法について専門家の話を聞いた。

スポーツの世界で頂点を争う選手たちは、高レベルのメンタルコントロールを求められる。

今年のソチ五輪で銅メダルを獲得したスキージャンプ男子団体チームをサポートした国立スポーツ科学センター(東京都北区)の立谷泰久さんは「落ち着いて競技に集中するために、選手たちは自分なりのリラックス法を会得している」と話す。

スキージャンプでジャンプ台の斜面を滑り降り、滑空し、着地するまではわずか10秒ほど。不要な筋肉の緊張で空中姿勢のバランスが崩れないようにしているのだ。

■ストンと力抜く

立谷さんは、心理学やスポーツ科学が導き出したリラックスするためのメニューをいくつか提供する。選手は、そのなかから経験を基に自分にあったリラックス法を組み立てていく。ゴルフでショットやパッティングをする直前などに短時間で効果が得られる「漸進的筋弛緩(しかん)法」もそんなメニューの一つである。

ゴルフなど立位では腕、肩など5秒間ほど力を入れる。全力で力を入れたときの7~8割ほどに止めることが大切だ。そのあとストンと力を抜き、肩や腕の筋肉が伸びてブラブラしているのを感じながら10秒ほどリラックスする。デスクワークをしているときは、肩だけ、手のひらを握るだけといった方法もある。

仕事をしながらでもできるのが呼吸法だ。ゆっくりと時間をかけて深呼吸する。無理は禁物で、自然に息を吐き切り、苦しくなる前にゆったりと吸い込むことをくり返す。

立谷さんは「このときイメージを加える方法もある」と話す。「不安な気持ち」「漠然とした怒り」といったマイナスイメージが息と一緒に出ていき、「落ち着いて集中する」「楽しく頑張る」といったプラスのイメージを取り込む。

プレー直前で大切なことは「結果を意識しないこと」(立谷さん)。結果を考えると無意識のうちに緊張する。「いまこの瞬間にしていることに集中すること」を学ぶだけで結果が違ってくるという。これはビジネスシーンでもいえそうだ。

では、なぜこうした方法でリラックスできるのか。杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)精神神経科教授の古賀良彦さんは「これらの方法は1932年にドイツの精神医学者シュルツが提唱した自律訓練法がベース」になっていると説明する。自律神経には緊張したときに活発になる交感神経とリラックスしたときに活発になる副交感神経がある。

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