「リンパ管は、排水管にたとえて考えると分かりやすい」。この分野に詳しい広田内科クリニック(東京都世田谷区)院長の広田彰男さんは話す。
下の図のように、動脈を流れる血液は、その成分の一部が血管の外に漏れ出る。細胞に酸素と栄養分を届け、代わりに老廃物を受け取って、心臓に戻っていく。このときに通る「排水管」の一つがリンパ管だ。
リンパ管を通るのは、余分な脂肪やたんぱく質など、分子の大きな「粗大ゴミ」を含んだ水分。これらの水分は流れていくうちにリンパ節と呼ばれる器官を何度も通過する。リンパ節には細菌などの有害物質をさえぎるフィルターの働きもあり、体内の浄化に一役かっている。
体内で排出される水分のうち、このリンパ管を通っていくのは全体の1割ほどだ。残る9割の水分は、もう一つの排水管である静脈を通って心臓に戻っていく。このため、むくみ対策などには、静脈の流れをよくすることがとても重要になる。
リンパ管も静脈も、心臓がポンプとして勢いよく働いている動脈に比べると流れはゆるやかだ。主として、周りの筋肉や臓器から圧迫されることで一方向に流れが生まれている。だが筋肉などの動きが少なければ滞ってくるのが悩みどころだ。
特に人間は二足歩行するようになった結果、足から心臓まで重力に逆らって「排水」を持ち上げなければならない。心臓から引き上げる力も働くが、それにも限界があるのでしばしば代謝が悪くなり、むくみも生じる。
特に筋肉が比較的少ない女性や高齢者の間で、「夕方になると足がむくむ」などの悩みを抱える人が多い。
それでは、リンパの流れをよくするにはどうしたらよいのか。日ごろ、パソコンに向かって長時間座ったり、立ち仕事を続けたりしている人も、次のようなことを心がければ効果があるようだ。