冷製・スタミナ…レシピアプリ、食品各社が工夫競う
「新じゃがの梅風味サラダ」「フレッシュトマトのえびチリ」「サニーレタスの焼きそば」――。キッコーマンのレシピ検索アプリ「今日の献立」は旬の食材を使ったメニューを紹介している。
買い物リスト機能も
6月の父の日、7月の七夕など行事に対応したメニューも豊富で、8月には夏ばて防止のスタミナ料理も登場予定。昨年の夏はゴーヤを使った料理レシピの閲覧件数が多かったという。
プロの料理研究家とともに考案した料理は約2400品。多くの家庭のキッチンにある同社のしょうゆやみりん、めんつゆを活用した和食が充実している。メニュー検索に際しては、オクラやカツオといった食材名からも、パスタといった料理名からも調べられるようにして使い勝手を高めている。
利用者は20~30代の女性が中心で、パソコン向けサイトに比べて年齢層が低い。料理に必要な買い物リストを作成する機能も持っている。コーポレートコミュニケーション部の山下弘太郎氏は「仕事帰りの電車の中でも手軽に献立を考えられる」と話す。
夏に食欲を刺激するスパイシー料理を多く掲載するのがハウス食品グループ本社の「スパイスレシピ」。オレガノやサンショウといったスパイスを使ったメニューを紹介している。「夏に勝つ!元気になるレシピ」といったテーマごとにメニューを検索する機能をつけており、スパイス料理とこれまで接点の少なかった消費者も関心を持てるようにしている。
都内の自営業の女性(36)は「季節別メニューが参考になり、スパイスで元気を出したい時に使いたい」と話す。
男性の利用2~3割
アプリで人気のメニューはカレー。カレールウは同社の看板商品だが、ここで紹介するのはクミンやターメリック、レッドペッパーなどのスパイスを使ったこだわりタイプ。2011年にアプリを始めた当初は女性をメーンユーザーに想定していたが、実際は2~3割が男性。デジタルコミュニケーション課の魚野結氏は「こだわり料理をホームパーティーなどで披露する男性が多いのでは」と分析している。
エスビー食品が13年に始めた「マジックレシピ」は、スパイス名からの検索のほか、「あっさり」「ガッツリ」「ほっこり」など、食べたい料理のイメージからメニューが選べる。夏本番に向け「冷やしおでん」や「冷やしカレーうどん」といった冷製メニューや飲み物、デザートレシピを拡充している。
同社は契約農家で生産したミントなどのハーブを販売しており、ミントを使ったヨーグルトムースなどハーブ料理のレシピも多い。「香り、彩り、辛さを加えるのがスパイスの役割。減塩もでき、使いこなせば健康にもいいはず」(コミュニケーション企画室の千葉仁氏)。
アプリを運営する食品メーカーは、しょうゆやスパイスなど自社商品の活用法をアピールすることで消費を喚起する狙いがある。ただ消費者も、どこの家庭にもある大手メーカーの食材を無駄にしないで、食生活の幅を広げるメリットはある。どのアプリも大手メーカーならではの凝った作りになっているが、利用は無料だ。夏の料理を楽しむヒントがあるかもしれない。
(証券部 成瀬美和)
[日本経済新聞夕刊2014年6月26日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。