6~18時の食事、太りにくく 体内時計で体調管理

■骨の形成は夜

こうした末梢時計の動きも、食生活に応用することができる。香川さんは「カルシウムは夕方に摂取した方がいい」と説く。成長ホルモンは就寝してから眠りが深くなる1.5時間までの間に大量に分泌されるからだ。「朝になるとカルシウムが血液中に溶け出してくるため、骨の破壊を防ぐ薬は朝、形成を促す薬は夕方に飲むのが有効」だという。

塩分の吸収にもリズムがある。「血中の塩分を体に蓄える作用があるアルドステロンというホルモンは、16時から20時まではあまり分泌されない」と香川さん。医療現場でも「夕食ではある程度、塩分の摂取制限を緩めるなどメリハリを付けて指導するケースが増えてきた」。

体調と密接に絡む1日のリズム。しかし、夜間の仕事など不規則になりがちな人はどうすればいいのか。香川さんは「自分の活動時間を昼と考え、光と食事に気をつける」ことを提案する。

例えば昼夜が逆転している場合。起きた時間を起点に、朝食、昼食にあたる食事をしっかりとる。活動中は光を浴び、帰宅したら遮光カーテンなどで部屋をなるべく暗くして、体に「夜だ」と思い込ませることが大事だという。明るいうちに外出する場合はサングラスなどで光を抑える。

日によって勤務時間が異なる職種の場合は、出勤時間を早い方から遅い方にずらしていく。その方が負担が少ない。通常の生活に比べ体調を崩しやすいので、食事でリズムを整えることが肝心だ。

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服薬「いつが最適」解明へ

体内リズムは、医療分野にも応用されている。例えば降圧剤。高血圧の症状の中には起床後に急激に血圧が上昇するタイプがある。「体内リズムを調べることで、早朝に降圧剤を飲むなどの治療が可能になった」(女子栄養大学の香川副学長)

時計遺伝子の解明が進み、「時間薬理学」と呼ばれる分野が確立されてきた。「利尿薬や脂質異常の改善薬、潰瘍の薬など、どのタイミングで服用するのが最適なのか、副作用が最も少ない時間帯はいつか、などの研究が進んでいる」(早稲田大学の柴田教授)

ただ、体内リズムには個人差がある。薬の服用は医師の指示に従うことが大前提だ。

(河尻定)

[日経プラスワン2014年6月7日付]

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