■長期ケア課題

課題として浮き彫りになったのが小児がん経験者の長期的なケア。再発の恐れのほか、治療の放射線や抗がん剤の影響で将来、成長障害や臓器障害を引き起こす可能性もある。

東京都立小児総合医療センター(府中市)は、大人になっても定期的な診療を続ける「長期フォローアップ」の体制づくりに力を入れる。同センターは子供専門のため、隣接する都立多摩総合医療センターへの円滑な引き継ぎを目的に「移行外来」を開設した。

長期入院などで社会経験が不足がちな小児がん経験者の自立を助けるのが狙いで、コーディネーター役の看護師がサポートする。通っているのは20歳前後がほとんどだが、血液・腫瘍科の湯坐有希医師は「欧米では10代前半から移行外来に通う。中高校生が通えることが目標」という。

患者団体からは家族の支援などで拠点病院の一層の充実を求める声が強い。公益財団法人「がんの子どもを守る会」(東京・台東)の樋口明子さん(39)は「就学や就労、治療費、健康管理など多岐にわたる相談に対応できる人材が少ない」と指摘。「身近な医療機関にかかっても適切な治療が受けられることが一番大事。拠点病院を中心とした地域のネットワークづくりを急いでほしい」と話す。

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都内2病院担う 情報集約の司令塔

厚生労働省は今年2月、小児がん拠点病院の“とりまとめ役”となる「小児がん中央機関」に国立がん研究センター(東京・中央)と国立成育医療研究センター(東京・世田谷)を指定した。患者の相談や長期的ケアのあり方などを検討し、拠点病院の支援にあたるのが役割だ。

小児がんは白血病や脳腫瘍など子供に多いがんの総称。発症者は年2000~2500人とされ、種類が多い。2012年に閣議決定した国の「がん対策推進基本計画」で対策が初めて盛り込まれ、厚労省が13年2月、全国を7地区に分け、15病院を拠点病院に指定した。

拠点病院は患者を集約して専門的に治療するほか、地域の病院と連携し、治療の難易度などに応じて診療体制を分担する。一方、小児がん中央機関は拠点病院などから患者の治療実績や支援に関する情報を集約し、がんの種類ごとの特徴や治療法などを公開する役割もある。

厚労省の担当者は「小児がんは希少がんも多く、患者への情報提供は十分ではない。患者や家族、専門家らの意見を聞きながら情報公開や支援のあり方を検討したい」としている。

(今井孝芳)

[日本経済新聞夕刊2014年4月17日付]

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