お茶・ランチ・就活… スマホでつなぐ気軽な出会い
「あまり気張らず、気軽に会いたい人と会えるのが良かった」と話すのは笠井レオさん(21)。2年前、起業家志望の大学生だった笠井さんはお茶友達のマッチングサービス「コーヒーミーティング」に登録し、東京・六本木のカフェで1人の投資家と出会った。投資家とのミーティングでアイデアを固め、2012年に本を軸にした交流サイト(SNS)運営会社を起業した。
1対1で時間決め
コーヒーミーティングはスマホやパソコンを使って会話のテーマや出会う場所を指定し、気軽にお茶友達を探せるサービス。マッチング形式は「1対1」。複数になると、聞き役に回ってしまう人がいるためだ。ミーティング時間は30分か1時間と決め、気軽な出会いをアレンジする。笠井さんも「時間が決まっているから、忙しそうな相手も誘いやすい」という。
現在の登録会員は3万5千人で、約75%が男性。20~30代の利用が多く、1日50件程度の「お茶会」が成立している。合計100人以上のお茶仲間を作ったヘビーユーザーもいる。「新幹線の何号車で待ち合わせ」と、移動時間や仕事の合間にもってこいだ。
「自分があったらいいなと思うサービスをつくった」と運営会社レレレ(東京・渋谷)の山本大策社長は話す。異業種交流に興味を持つ人は多いが、オープンな場で他人に話しかけるのが苦手な人もいる。山本社長もその一人。ちょっとお茶でも――。そんな軽いノリで人と出会えたらという思いを形にした。
フェイスブックなどSNSの登録情報を基に、個人と個人をつなぐサービスは「ソーシャルマッチング」と呼ばれる。コーヒーミーティングもその一つ。運営費用は広告などで賄い、利用は無料であることが多い。
投稿内容などを閲覧できるSNSの普及で、ネットの向こう側にいる見知らぬ人も、より身近に感じるようになった。相手の人物像もある程度、吟味できるようになり、ネット上の知人とリアルの場で会うハードルは低くなっている。
趣味や興味が近ければ、初対面の人ともすぐに打ち解けられる。ギャラクシーエージェンシー(大阪市、金谷元気社長)の「ハッピーアワー」は飲み仲間を探せる。ユーザーはまず友達とペアを組み、飲みに行きたい場所や食事、お店を登録する。毎日1回、登録情報を基に相性がいいペアを紹介してくれる。
「会社と家の往復ばかりになるのが嫌だった」。都内で働く28歳の独身男性はそんな気持ちでハッピーアワーに登録した。忙しいビジネスマンほど、仕事帰りの自由な時間を有意義に過ごしたいもの。いつもと違う顔ぶれでお酒を飲めば、仕事のストレスも吹き飛びそうだ。
人気企業の社員と
ソーシャルマッチングを就職活動に利用する学生もいる。Donuts(東京・渋谷、西村啓成社長)の「ソーシャルランチ」は大企業の社員と学生をつなぐサービスだ。学生が会いたい社会人にオファーし、社会人側が応諾すればマッチング成立。一緒にランチを食べながらの「OB訪問」で、就活サイトにはない生の情報を得られる。
特徴はサイトに並ぶ社会人の「品ぞろえ」。金融や総合商社、広告代理店、外資系コンサルティングなどの人気企業の社員がずらりと並ぶ。審査は厳しく、約3000人の申請に対して承認しているのは500人だけ。学生側の登録に審査は無いが「東京大学や早稲田大学など有名校が大半。意識とスキルの高い学生が集まっている」(サービスを開発した福山誠氏)という。将来有望な学生とのふれ合いは、訪問を受ける社会人側の活力にもなっているようだ。
(企業報道部 新田祐司)
[日本経済新聞夕刊2014年4月17日付]
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