仕事を辞めた高齢者では、長く眠ろうとして寝床で過ごす時間を延ばすと、寝付きが悪くなったり途中で目覚めてしまったりすると指摘した。年をとれば、自然と睡眠時間は短くなってくる。内山教授は「仕事をしていた頃の生活リズムをなるべく続けると、体調も維持しやすい」と助言する。

ただ「睡眠を必要以上に重視するのはやめた方がよい」と内山教授は話す。仕事の効率を維持する、心や体の健康を保つ、といった目的が優先するという意味だ。「とにかく夜10時に寝て朝7時に起きるのが健康的」といった睡眠ありきの考え方はよくないという。寝だめも効果が薄く、日々の睡眠時間を確保することが重要だ。

日中の眠気に注意

新指針には、科学的根拠をまとめた参考資料もつけた。内山教授によると、一部でいわれている「90分の倍数で起きればすっきりする」「夜10時~午前2時の睡眠は肌荒れを防ぐ」「4時間睡眠でも工夫すれば足りる」といった説には肯定するだけの科学的根拠はないという。

必要な睡眠時間や朝型・夜型といった生活リズムには個人差があるが、仕事など活動している時間帯に眠気を感じたら、睡眠不足のサインだ。なかなか寝られない不眠を防ぐために、昼間は適度に運動し、夜は自分にあったリラックス法を身につけたい。

睡眠薬代わりの寝酒や喫煙などは睡眠を妨げてしまう。コーヒーやお茶に含まれるカフェインも同様で、夜中に尿意を催す原因にもなる。寝る3~4時間前に飲むのは控えよう。一方、睡眠中に呼吸が停止する場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、眠れない、睡眠しても休養した感じが得られないといった場合はうつ病の恐れがある。深刻になる前に医療機関を受診しよう。

(岩井淳哉)

ひとくちガイド
《インターネット》
◆厚生労働省が11年ぶりに改定
 「健康づくりのための睡眠指針2014」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html)
《本》
◆睡眠について詳しく学ぶなら
 「睡眠のはなし 快眠のためのヒント」(内山真著、中公新書)

[日本経済新聞朝刊2014年4月13日付]

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