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健康づくり

健康維持に大切な腸内細菌 抗生物質や食習慣で乱れ 病気との関係、解明進む

2014/3/18 日本経済新聞 朝刊

■悪玉菌にも役割

遺伝子解析技術の向上で、これまで一部しか分かっていなかった腸内細菌の種類や働きの解明も進展した。善玉菌や悪玉菌の役割についても、これまでの常識にとどまらない発見がされている。

例えばこれまで悪玉菌とされてきたクロストリジウム属菌は、免疫が働きすぎないようにするT細胞を制御する大切な役割をしている。しかも単一の腸内細菌ではなく17種類の細菌が協力してはじめて力を発揮する。理化学研究所と共同でこの働きを見つけた東京大学オーミクス情報センター長の服部正平教授は「腸内細菌が個別の働きではなく集団になることで役割を果たしている」と説明する。

善玉菌の代表とされるビフィズス菌についても不思議なことが分かってきた。理由は未解明だが、日本人の腸にいるビフィズス菌は欧米や中国など海外に比べておよそ10倍と突出して多いのだ。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー、糖尿病といった生活習慣病など腸内細菌のバランスの乱れが影響していると考えられる病気は少なくない。安倍晋三首相が最初の在任時に退く原因となった潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患もそうだ。

病気によって腸内細菌の構成パターンに特徴があることも分かってきた。例えば糖尿病患者の腸内細菌の構成は、健康な人の腸内細菌とは異なる共通の特徴を持っている。腸とは無縁に見える自閉症などにも特有のパターンが見つかるという。「我々が思っている以上に様々な病気に関係している可能性がある」と服部教授は指摘する。

こうした研究が進めば、将来、腸内細菌のパターンを調べることで病気になる危険性を診断できる可能性もある。病気治療に腸内細菌の力を生かそうという研究も始まっており、健康増進にとどまらない活用が期待できそうだ。

(編集委員 小玉祥司)

ひとくちガイド
《本》
◆腸内細菌の特長や健康食品との関連を知るには
「人の健康は腸内細菌で決まる!」(光岡知足著、技術評論社)
《ホームページ》
◆大便から見る腸内細菌の働きを紹介
大鵬薬品「ウンチから、腸内環境がわかる!」(http://www.taiho.co.jp/kenko/otayori/index.html)

[日本経済新聞朝刊2014年3月16日付]

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