舌を見て体調チェック 白っぽい場合は疲労が蓄積食べ過ぎ・飲み過ぎのサインも

前日酒を飲み過ぎてしまった、日ごろからストレスが多い――。そんな生活を続けていると健康が損なわれる恐れも高まる。体調の変化が真っ先に現れやすいのが口の中だ。東洋医学では「舌は内臓の鏡」とも呼ばれ、舌の色や形などを観察して健康状態を知る診断法が重視されている。口臭も強まることがある。深刻な状態になるのを避けるためにも、口の中をチェックする習慣を身につけたい。
球の部分に舌を入れて画像を撮影する自動舌診装置(千葉大学病院)

東京都内の会社員、A子さん(29)は仕事が忙しく睡眠もうまく取れない日が続いていた。そこで漢方の専門家のもとを訪れると、舌の状態からストレスや疲れがたまっている「気虚」と診断された。

■自動舌診の研究進む

気虚は中国医学(中医学)でエネルギー不足の状態とされ、舌が白っぽく、ぽっちゃりした状態となる。疲労の蓄積や食生活の乱れ、睡眠不足などで全身が弱っている証拠で、風邪や貧血、うつなど様々な病気にかかりやすい状態にあるという。

舌を見る「舌診(ぜっしん)」は中医学・漢方の重要な診断方法の一つだ。舌の色や形、舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌表面の白っぽい付着物の状態などから体の異常を見分けている。薬石花房幸福薬局(東京・千代田)代表で、中国の中医師の資格も持つ幸井俊高氏は「大きく分けて48種類ある」と話す。A子さんの状態である気虚は「特に最近の若い人に多く見られる症状で、早めに対処した方がよい」と助言する。

このほか、舌苔がはがれやすくボロボロの時は、食べ過ぎや飲み過ぎなどで消化器系に負担がかかっているという。舌がはれていたり歯形が付いていたりすると、体力が落ちて余分な水分が体にたまっている恐れがある。舌が紫色や紫の斑点がある場合は、血行の悪化などが懸念される。

また、舌がひび割れているのならば、栄養や水分が不足している可能性が高い。舌の先に赤い斑点やブツブツがあれば、感染症や精神面の不調が関係しているかもしれない。

舌診はレントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)などを用いた画像診断と異なり、どの臓器にどんな異常があるのか正確に見分けるのは難しい。しかし「内臓や血管のちょっとした異変から、病気になる一歩手前の『未病』を発見できる」(幸井氏)。専門家以外でも知識を得て、自分の舌を毎日見続ければ、健康状態を見分けることができるようになるという。

ただ舌は朝や夜、食事の前後などで状態が変わりやすい。このため、千葉大学病院・和漢診療科の並木隆雄准教授らのグループは、舌の画像をもとに自動で診断できる装置を開発した。椅子に座って装置にあごを乗せ、舌を出す。色や厚さ、舌苔の色や量などを数値化して判定する仕組みだ。

精度は現在6割以上で9割が目標だ。そうなれば「全国の病院、薬局で舌診ができるようになる。未病を早く見つけ、生活習慣を見直せば健康な生活が送れる。医療費の削減にもつながる」と並木准教授は力を込める。

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