海外旅行、思わぬ感染症リスク 予防接種で身を守る

各種のワクチンの費用は自己負担で、接種回数も種類により異なる。合計で数万円になるケースもある。

どのワクチンを接種するかは医師に相談して決めよう。「滞在先や期間、過ごし方などと、感染・発症により入院などを余儀なくされ、仕事や家事・育児を休むリスクを考慮して決める」(竹下医師)。特に狂犬病など死亡率が高い病気は要注意だ。発展途上国に渡航し犬などと接する可能性の高い人は接種を検討しよう。狂犬病ワクチンはかまれた後でも打てるが、事前接種が大切だ。

ワクチンは打ってから効果が出るまでに一定の日数がかかる。黄熱病などは生ワクチンで接種後しばらくは他のワクチンを打てない。このため接種スケジュールを考慮することが重要で、トラベルクリニックなどで相談するとわかりやすい。「できれば旅行の1~2カ月前までに受診してほしい」と竹下医師は訴える。

■帰国後発熱は受診

すべての感染症にワクチンがあるわけではない。例えば、熱帯や亜熱帯で広く流行するデング熱は蚊が媒介する。長袖・長ズボンを着用して肌の露出を少なくするとともに、虫よけスプレーや蚊帳を使用する。マラリアも同様だが、予防薬があるので必要に応じて服用してもよいという。

海外で問題が起こらず帰国した場合でも注意点がある。「帰国後1~2カ月以内の発熱は、海外でかかった感染症の可能性があるので、できるだけ専門の医療機関を受診したほうがよい」(竹下医師)

高齢者の海外旅行も一般的になったが、実は現地で発症しやすいのは心筋梗塞や肺炎などだ。持病の生活習慣病などを悪化させることもある。かかりつけ医に処方してもらった薬と英語の診断書などを携帯していると、もしもの際に役立つ。海外では入院費などが高額になることもあるので、保険も考えよう。

日本ではトラベルクリニックが十分整備されていない課題もあるが、せっかくの旅行を台無しにしないために「事前に検疫所や医療機関に相談し、正確な情報に基づいて対策をたててほしい」と浜田部長は話す。

(西村絵)

ひとくちガイド
《インターネット》
◆渡航時の注意点やマラリア予防の知識などを得るには
国立国際医療研究センタートラベルクリニック(http://www.travelclinic-ncgm.jp/)
◆感染症の予防接種情報などを説明
成田空港検疫所(http://www.forth.go.jp/keneki/narita/)

[日本経済新聞朝刊2013年11月24日付]

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