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女性医師、職場に戻ってきて 復帰支援の動き広がる

院内に保育施設、時短勤務の採用…

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NIKKEI STYLE

 出産や育児を理由に離職した女性医師の復帰を支援する動きが広がっている。病院内に保育施設を設けたり、短時間勤務制度を採用するなど女医のつなぎ留めに知恵と工夫を凝らすほか、退職者と採用を希望する医療機関を結びつける仕組みも定着しつつある。医師国家試験の合格者に占める女性の割合は今や3分の1。女医にとって働きやすい環境を作れるかどうかは、医師不足対策のカギの一つにもなりそうだ。

11月上旬、関西医科大学付属枚方病院(大阪府枚方市)の保育施設。午前7時半過ぎ、勤務前の女性医師が子供を預けにきた。「今日は遅くなるので、延長保育をお願いします」。子供の機嫌や健康状態をメモした連絡帳を保育士に渡し、迎え時間を告げた。

延長保育が可能

同施設では生後8週目から乳幼児を最大15人預かる。5人前後の保育士が対応しており、2006年の設置以降利用者が増え、現在は5人が預ける。手術時間が延びるなどの医師の事情に配慮し、当日の申請でも午後8時までの延長保育が可能だ。

小児科の外山有加医師(30)は1歳の男児を預けながら週5日勤務。「自宅近くの保育所には待機児童もいる。もし院内で預けられなければ辞めていたかもしれない」と話す。同病院は10年には「週2日以上、1日4時間以上」という時短勤務制度を開始。安田照美看護部長は「さらに環境整備を進めなければ医師不足が加速する」とみる。

大阪府医師会は10年、院内保育、病児保育、柔軟な勤務体系を"3本柱"とする女性医師支援プロジェクトを開始。病院長や女性医師らを招いた討論会などを重ね、先進的な女性医師支援の事例などを紹介してきた。府内の15病院の保育施設が連携し、女性医師が最寄りの施設に預けられる体制も整えた。

同医師会によると、比較的若い女性勤務医が多い府内の70病院のうち、10年に院内に保育・託児施設があるのは48病院だった。今年1月には60病院に増加。時短勤務も31病院から57病院になったという。府医師会の上田真喜子理事は「地道な活動が実を結びつつある。代わりとなる医師がいなければ女性医師は育休を取ることはできない。体制整備を急ぎたい」と語る。

公務員、研究者と並び女性の進出が少ないと指摘される医師。日本では長年、女性医師の比率は10%程度で推移してきた。それが1990年代から増加し、10年には18.9%に。将来、医師全体の3~4割を占めるのは確実とみられ、女性医師にとって魅力的な職場づくりに力を入れる病院が増えている。

東京女子医科大学(東京・新宿)はその一つ。時短勤務の実現や院内保育所の設置のほか、地域住民や学生の保護者らが医師らの子供を保育園や幼稚園に送り迎えする「ファミリーサポート」制度を導入した。いったん現場を離れた医師の研修計画を用意し、復帰に向けた支援も行う。

心臓血管外科の立石実医師(38)は08年に結婚し、翌年に出産。専門は生まれつき心臓に病気のある「先天性心疾患」で専門性が高く、現場感覚を失わないよう、当時、勤務していた別の病院には産後8週で戻った。「授乳間隔は短いし、夜泣きはする。当直も重なって不眠不休になり、行き詰まった」と振り返る。

そんな時に相談に乗ってくれたのが古巣の東京女子医大だった。11年から2年間、週30時間の時短勤務を続けながら子育てし、今年4月からフルタイム勤務に復帰。現在、当直をこなしながら月2~3回の手術を手掛ける。立石医師は「医師でも仕事を優先する人がいれば子育てを重視する人もいる。多様化する価値観を働き方の多様性に反映できる受け皿が増えれば、女医の活躍の場もぐっと広がっていく」と期待する。

医師不足対策にも

一方で、手厚い支援をする病院はまだ、少数派といえ、女性医師の比率が高い医療現場には危機感は強い。例えば、産婦人科。日本産婦人科医会などの調査によると、常勤医師の約4割は女性。その半数は妊娠中か育児中。大学病院では16年目までに35%の女性が分娩の取り扱いをやめ、女性医師の6.5人に1人は常勤先がない。しかも、常勤先のない女性医師の半分は30代。同医会常務理事で日本医科大学の中井章人教授は「重点的にこの年代の離職対策をすべきだ」と話す。

過酷な環境で働き続けるか、キャリアを捨てるか。二者択一の判断は男性を含めて医師全体のプラスにならない。高齢化に伴い患者が増加する中、深刻化する医師不足解消には、女性医師の活用は欠かせない。

女性医師の働きやすさなどを病院ごとに評価・認証するNPO法人、イージェイネット(東京・台東)の滝野敏子代表理事は「病院間の取り組みに格差が生まれている。男性が多い病院幹部の意識改革や、学生時代から医師としての高い職業意識を植え付ける教育も必要だ」と訴える。日本医師会で女性医師支援を担当する小森貴常任理事も「女性医師にとって働きにくい職場は男性医師にとっても働きにくい職場。女性医師を取り巻く問題を壁ととらえず、日本の医療を変えるチャンスにしていくべきだ」と話している。

◇            ◇

就職希望者と病院仲介 国も支援を強化

いったん職場を離れた女性医師には、出産や子育てだけでなく、配偶者の転勤などで現場から長く遠ざかり、結果として復帰の道を絶たれるケースも少なくない。日進月歩で進む医療の現場に再挑戦することに不安を抱える人も多く、厚生労働省もきめ細かい支援に力を入れている。

都道府県での相談窓口設置や病院内保育所の整備・運営費の一部補助のほか、2006年度から「女性医師支援センター」事業をスタート。委託を受けた日本医師会は「女性医師バンク」を立ち上げ、再就職を希望する女性医師と働き手を求める病院のマッチングなどを無料で行っている。今年9月末現在で求人登録施設は1541件、求人登録件数は961件。これまでに354件の就業が成立し、17件の再研修を紹介するなど徐々に成果が出ている。

女性医師バンクでは今年度から新たに、病気の有無を調べる検診業務のあっせんも開始。業務を手がける団体から求人情報を登録・公開してもらい、求職者の女性医師に提供する。フルタイムは無理でも現場で働きたいとのニーズは多く、比較的短時間の仕事で済み、柔軟な勤務形態も組めるメリットがある。

(江口博文、藤井将太)

[日本経済新聞夕刊2013年11月21日付]

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