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新・出生前診断の希望増加 3カ月で1000人超受診 情報提供・説明の充実が不可欠

2013/7/5 日本経済新聞 夕刊

■小児科医も同席

同病院では陽性と判定され、その後の羊水検査で胎児が染色体異常だと確定した妊婦には、遺伝医療の専門医だけでなく、小児科医も同席する。ダウン症の成長過程や通院の頻度、生活上の支援などを具体的に説明できるからだ。

実施医療機関の医師らでつくる任意団体「NIPTコンソーシアム」(東京・品川)によると、受診者は4月の開始から1カ月間で441件に上った。平均年齢は38.4歳。9割が「高齢出産」を受診理由にあげた。2012年の高齢出産(35歳以上)は全体の26%を占め、10年前に比べ12ポイント上昇。高齢妊娠・出産が増える中、出生前診断への関心が社会的に広がったことが増加の要因で、関沢教授は「今後、検査希望者はさらに大きく増えるだろう」とみる。

日本産科婦人科学会などは検査前後、専門医などがカウンセリングを実施できる医療機関に限るとの指針を出した。日本医学会も、検査対象の妊婦を出産時に35歳以上や超音波検査で染色体異常の可能性が指摘された場合に限定する。

聖路加看護大学(東京・中央)の有森直子教授(遺伝看護学)は「検査で染色体異常が分かっても治療法はなく、全員が受ける必要はない。医療者が質の高い情報を分かりやすく説明し、妊婦と家族が納得できる選択を一緒に考える体制作りが重要」と指摘。様々な情報が氾濫する中、新しい検査にどう向き合うのか。後悔しない決断を社会が支えていく必要がある。

◇            ◇

■少ない認定施設、ケア課題

新たな出生前診断には課題も少なくない。

実施医療機関は全国で21カ所(5月19日現在)。ある地方の医療機関では2カ月先まで予約が埋まり、首都圏からの希望者も目立つ。陽性では羊水検査やその後のカウンセリングで何度も来院が必要なため、「遠方では十分なケアができるか心配」。

新しい出生前診断は既に海外で行われている。医療関係者によると、国内の認定施設で受けずに海外に渡航して検査を受ける妊婦もいるという。医療関係者は「海外では言葉の問題もあり、検査内容の説明を十分に理解できるか疑問。陽性の場合、帰国後にカウンセリングを受けられず一人で悩むことになる。必ず国内の認定施設で受けてほしい」と訴える。

検査費用は約20万円。公的医療保険の対象外で、負担は大きい。厚生労働省は今夏、出生前診断全般の実態調査を始める。検査数やカウンセリングの実施状況などを把握、国の支援体制の検討材料にしていく。

(村上徒紀郎、堅田哲)

新型出生前診断 妊婦の血液中の胎児のDNA断片を解析し、計3種類の染色体異常を調べる検査。ダウン症の21トリソミー、呼吸障害などをもたらす18トリソミーと13トリソミーの染色体異常の有無が高確率で分かる。妊娠10週から可能だ。陽性では胎児がダウン症である可能性は35歳以上で80%以上。陰性の的中率は99%以上という。日本医学会が認定した全国15施設で4月から始まり、その後、8施設が追加された。

[日本経済新聞夕刊2013年7月4日付]

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