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新・出生前診断の希望増加 3カ月で1000人超受診 情報提供・説明の充実が不可欠

2013/7/5 日本経済新聞 夕刊

妊婦の血液検査で染色体異常の有無を調べる新しい出生前診断が始まり、約3カ月が経過した。全国の医療機関には希望者が押し寄せている。「高齢出産」を理由にする妊婦が多く、受診者は6月上旬までに1000人を突破した。母体への負担が少ないメリットがある一方、検査を十分に理解しているかどうかへの懸念はぬぐえない。冷静な判断には正確な情報提供などカウンセリング体制の充実が欠かせない。

■「確定でない」強調

新しい出生前診断の結果を説明する昭和大の関沢明彦教授

「なぜ、検査を受けようと思ったのですか?」「高齢出産だったから」。今年5月、昭和大学病院(東京・品川)の産婦人科の診察室。認定遺伝カウンセラーの四元淳子さんに、妊婦(38)は思いを伝えた。

四元さんは、検査で判定できる染色体異常はダウン症などの3種類であることや、結果が出るまで2週間かかることなどを説明。その中で強調したのは、異常の可能性を示す「陽性」の場合は、確定診断ではない点だ。確定するには、妊婦の腹部に針を刺し、羊水を採取する「羊水検査」が必要と、訴えかけた。カウンセリングは約30分間。検査内容に納得した女性は採血室に向かった。

女性が新しい出生前診断を知ったのは3月。当時、妊娠のごく初期だった。検査を受けるかどうか夫と相談し、話し合いを重ねてきた。「結果について考えないようにして検査を受け、陽性なら、夫と時間をかけて話し合う」と語った。

昭和大学病院では4月以降、100人を超える妊婦が受診。カウンセリングを受け、確定診断ではないことを知り、羊水検査に切り替えた妊婦や、検査結果が出たとしても、妊娠を継続するか決められないとの理由で受けない妊婦もいた。関沢明彦教授は「十分な説明を受けず、検査を受ければ動揺や混乱が生じ、冷静な判断ができなくなる恐れがある」と強調する。

関沢教授によると、これまでの出生前診断の一つの「羊水検査」は0.3%の確率で流産する危険性があり、ためらう妊婦も。新しい出生前診断は採血による簡単な検査でリスクがなく、全国の病院には希望する妊婦が相次ぐ。

名古屋市立大学病院(名古屋市)では週2回、臨床遺伝専門医と産婦人科医、認定遺伝カウンセラーの計5人体制でカウンセリングに臨む。1日あたり約10人。ほとんどが採血に進み、実際に4月の検査は72件と全国で2番目に多く、首都圏や関西圏からの希望者もいる。受診した妊婦(36)は「すべての異常が分かるわけではないことを知り、カウンセリングの重要性を感じた」。鈴森伸宏准教授は「新しい出生前診断が確定診断と勘違いしている人もいる。検査の精度や判定できる染色体異常は一部にすぎないことなどを検査前に理解してもらう必要がある」と説明する。

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