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ハイキング、吸血ヒルに注意 血止まらず強いかゆみ 服の隙間から侵入

2013/7/2 日本経済新聞 朝刊

野山に生息し人や動物の血を吸うダニが注目を集めているが、ハイキングや農作業などをする際は「ヤマビル」にも気を付けたい。すその隙間などからひそかに侵入し、感触もないまま1時間以上も吸い続ける。一度吸われると血が止まらず、1カ月近くかゆみが続く場合もある。特に梅雨の季節は動きも活発になるので、注意してほしいと専門家は呼び掛けている。

今月10日、神奈川県秦野市の丹沢山系の水無川沿いにある約1キロメートルのハイキングコースで、丹沢山小屋組合の組合員ら約10人が、ヤマビル駆除用の薬液を山道に噴霧した。毎年、梅雨明け後に多くのハイキング客が訪れるためで、ヤマビルが最も活発になるこの時期に一斉に駆除してしまおうという狙いだ。

■自治体が駆除活動

ヤマビルは全国各地に生息している

この活動は昨年から始めた。市が補助金を出し、自治会などに駆除剤などを提供している。駆除の際に足元に寄ってくるヤマビルの数は、昨年は1人当たり約3匹だったが今回は1~2匹に減った。秦野市環境保全課の及川和也さんは「継続することで駆除の効果が出ている」と話す。

陸上にすむヤマビルは「山の吸血鬼」とも呼ばれる。ミミズなどの仲間で体長3~5センチ、伸びると5~7センチ程度になる。円筒形で吸盤を持ち尺取り虫のように進む。湿気の多い場所を好み、落ち葉や小石の下などに潜む。春から秋にかけての気温20度以上で、雨天や雨上がりの湿った蒸し暑い日によく見かける。

もともとは山奥に生息し、シカやイノシシなどの血を吸っていた。しかしシカなどが餌を求めて里山に出てくるようになり、ヤマビルも生息地を広げた。秋田県から沖縄県までほぼ全国で確認。例えば神奈川県では、里山とそこに隣接する住宅地でも吸血被害が多く報告されている。

「ヤマビルの怖さは気付かないうちに近づき、長い時間吸血することだ」。環境文化創造研究所(東京・新宿)でヤマビルを研究する谷重和・主任研究員はこう話す。ヤマビルの吸盤の周囲には、動物や人の息に含まれる二酸化炭素(CO2)や体温などを感じるセンサーが付いており、これを手掛かりに近づいて吸い付く。吸盤に並んだ細かい歯で皮膚を切り裂く。

人は出血すると、フィブリンという血液を凝固させる物質が働き、かさぶたとなって血を止める。しかし、ヤマビルが吸血中に出す「ヒルジン」という物質はフィブリンの働きを妨げるので、「少なくとも1、2時間は出血し続けてだらだらと血が流れる」(谷主任研究員)。吸血されている間は、蚊に刺された時のように気付くケースはほとんどないという。

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