運動習慣ない人ほど効果 集中筋トレで腰にくびれ
肌の露出が増える季節がやってきた。鏡の前で寒い時期に蓄えられた腹回りの脂肪を見て、気持ちが沈み込んではいないだろうか。本格的な夏まで残りわずかだが、まだ間に合う。2カ月でくびれを取り戻す筋力トレーニングを紹介する。
加齢とともに脂肪が厚みを増し、気がつけば体形が変わっている――こんな悪循環を断ち切るには筋肉トレーニング(筋トレ)が有効だ。筋トレは男性がするイメージが強いが、日本女子体育大学の沢井史穂教授は「女性も健康と体のラインを維持するためにやるべきだ」と勧める。
■一般的な腹筋運動と逆の動き
「2カ月の集中筋トレで引き締め効果が出やすいのは腹回り」と沢井さん。日常生活ではあまり使わない筋肉なので普段運動をしていない人ほど効果が出やすいという。自宅でできる運動で「リバースカール」と呼ばれる動きを勧める。一般的な腹筋運動は体を横たえた状態から上体を起こすが、その逆の動きをする。床に座った状態から上体を少しずつゆっくり床におろす。
ポイントはできるだけゆっくりと上体を下ろすこと。腹筋が発達していないと初めはパタンと倒れてしまうが、慣れると腹筋に力が入り、ゆっくり背中を付けられるようになる。この動きで下腹部を中心に腹回りの筋肉に負荷をかけられる。「毎日寝る前に2回するだけでも腹が引き締まる」と沢井さんは指摘する。
筋トレには筋肉量が増えて基礎代謝が上がるメリットもある。すると消費エネルギー量が増えるので、太りにくい体質になる。内臓の動きが活発になり、免疫力も高まるともいわれている。
■筋肉量増やし太りにくい体に
東京大学の石井直方教授は「筋肉が1キロ増えると基礎代謝が1日約50キロカロリー増える」と解説する。1年換算で約1万8000キロカロリー消費エネルギーが増える。理論的には特別な運動をしなくても脂肪約2.5キロを消費できる計算だ。筋肉量は加齢とともに自然に落ちる。意識的に筋トレをすることで筋肉量を増やし、太りにくい体にするのも大切だ。
ただ筋トレで体が引き締まっても、すでに付いてしまった脂肪はすぐにはなくならない。筋トレに加え、ランニングなどの有酸素運動や食事制限(1日200キロカロリー=ごはん1杯分)の組み合わせで落とす必要がある。
パーソナルジムのBODY TIPS(東京都渋谷区)は3カ月の短期トレーニングプログラムなどを実施している。夏に向けて「おなか周りを引き締めたい」「体全体を絞り込みたい」などと受講する30代以上の女性が目立つという。
くびれにこだわるならば、腹回りの筋肉構造をまず知ろう。外側から触れられない体の奥にあるのが腹横筋。くびれを左右するのは腹横筋の外側にある腹斜筋。筋繊維が斜め方向に走った筋肉で、内腹斜筋、外腹斜筋の順番に重なる。前方を覆うのが腹直筋で、このほか背骨と骨盤や下肢をつなぐ腸腰筋、背骨を支える脊柱起立筋などがある。
■しぼりたい部分を意識して
BODY TIPSのトレーナー、亀田圭一さんは「筋トレはどの筋肉に負荷をかけたいか意識することが大切」と話す。お勧めはゴムを使ったトレーニング。スイスのフランクリンメソッドという理論に基づく。腹斜筋や背筋に作用し、くびれをつくる効果大だ。ゴムはスポーツ用品店などで1千~2千円程度で買える。
イラストの初心者向けの筋トレも腹斜筋、腹直筋が鍛えられる。「上体を起こすだけの一般的な腹筋運動は腹直筋への負荷は大きいが、くびれを出す腹斜筋への効果はほとんどない」
筋トレは年齢を問わずいつからでも始められる。流行に左右されることなく習慣にすることが大切だ。
(坂下曜子)
[日経プラスワン2013年5月25日付]
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