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放置は事故・抑うつの誘因 眠気の上手な解消法 仮眠とオンオフの切り替えが効果的

2013/3/19 日本経済新聞 朝刊

春眠暁を覚えず――というように寝心地のよい季節を迎える。一方で日本人は睡眠不足といわれ、ゆっくり眠れない人も多いのでは。眠気は注意力などを低下させ、事故につながる恐れもあるなど侮れない。うまく解消することが大切と専門家は指摘する。

■午後の眠気も注意

眠気による事故の防止を研究する産業技術総合研究所の甲斐田幸佐研究員によると、居眠り運転事故が多い時間帯は1日2回。海外研究例などから、午前2~4時台と、午後1~3時台というのが一説だ。

通常、体温の低下と眠気の増加はほぼ比例し、夜中は体温が低い。だが昼間は体温が高いのに眠くなる。これは睡眠不足でなくても生じる。原因ははっきりしていないが、「眠気のリズムがそうなっているためと考えられる」(甲斐田研究員)。昼食の影響という見方もある。食事をとると脳内の覚醒物質オレキシンが少なくなるという。

強い眠気なら危険性は分かりやすいが、それほどでなくても油断できない。軽い飲酒と同じくらい反応が鈍くなる。16.5時間連続で覚醒していると血中アルコール濃度0.03%、18時間連続だと濃度0.05%に相当するという海外の研究報告もあるという。濃度0.03%以上は日本で酒気帯び運転に該当する。

睡眠不足は注意力以外にも影響する。国立精神・神経医療研究センターの研究グループは睡眠不足を5日間続ける実験で、不安や抑うつが強まる脳神経の仕組みを解明した。ネガティブな感情を引き起こすものに対し、脳の左扁桃(へんとう)体という部分の活動が増大、正常ならこれを抑制する別の部分がうまく連動せず、効果的に調節できないことが分かった。

同センターの三島和夫部長によると、徹夜明けに気分が高揚してハイな状態になる人がいる。ポジティブな感情を抑えられない状態だが、実はネガティブな感情も抑えられない。だが実験のような寝不足が続く場合、ポジティブは抑制でき、ネガティブだけが抑えられないという。しかも「社会人の場合、睡眠不足になるということは、仕事のストレスなどネガティブな感情の刺激を他にも同時に受けていると考えられるので、より注意が必要」と指摘する。

昼間に眠いときはどうするか。「午後の眠気解消にもっとも効果的なのは仮眠をとること」と産総研の甲斐田研究員は話す。紛らわしい画面中から特定の記号を素早く把握する課題をこなす反応時間を調べる実験で、仮眠する場合、光を照射する場合などを比較。仮眠をとった方が統計的に有意に反応時間が短く、光照射の効果はそれほどでもなかった。

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