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原発作業員、被曝どう把握 長期の健康管理が不可欠 チェルノブイリ、低線量でも白血病

2012/12/29 日本経済新聞 夕刊

1986年に起きた旧ソ連・チェルノブイリ原子力発電所事故で収束に当たった作業員に白血病の患者が増えているという調査結果を、米国などの研究チームがこのほどまとめた。健康への影響が少ないとされていた低いレベルの放射線量で病気の増加が見つかった。東京電力福島第1原発でも廃炉まで30年以上かかる見通しで、作業員の長期の健康管理が課題となりそうだ。

調査結果は、米国立がん研究所や米カリフォルニア大学、ウクライナ放射線医学研究センターなどのチームがまとめ、11月に専門誌に発表した。1986~2006年に現場作業にかかわった約11万人を追跡調査した。その結果、137人が白血病になり、うち79人が慢性リンパ性白血病だった。

■原因の16%占める

研究チームは被曝(ひばく)した放射線が原因で白血病になったかどうかを見分けるため、年齢や居住地域などの影響を取り除いて疫学的に分析した。白血病になった人のうち、16%に当たる19人は放射線が原因だと断定した。作業員の被曝線量は全体の78%が100ミリシーベルト未満で、国際放射線防護委員会(ICRP)などが「人間が浴びても明らかに健康への影響が出るとする科学的なデータはない」としている値だった。研究チームは「低い放射線の被曝でも白血病のリスクが高まる恐れがあり、放射線と病気の関係を調べるためより詳しい調査が必要だ」と指摘する。

チェルノブイリ原発では事故直後の収束に多くの作業員が投入され、放射線の影響で命を落としたケースもある。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)などによると、事故発生から現場で働いた作業員は50万人以上。約1000人が事故直後の作業で高い放射線にさらされ、134人は激しいやけどや敗血症などを併発した急性放射線障害を発症した。このうち少なくとも28人が放射線の影響で亡くなったといわれている。

米国などの研究チームが今回指摘したのは、こうした事故直後の高い線量の被曝ではなく、現場に入ったものの低線量の被曝をした作業員ばかり。これまでも白血病などが増えたとする論文はあった。原爆被爆者の調査を手掛けた福島県立医科大学の柴田義貞特命教授は「今回の論文は分析もしっかりしているが、作業員が被曝した放射線量の推定にバラツキが大きい」と指摘する。白血病になった作業員がどれだけ被曝したのか明確になっていないからだ。

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