不眠の原因「むずむず脚症候群」 新薬で症状改善正しく診断されることが条件

■まだ少ない専門医

治療には、2010年にこの病気に使えるようになった神経伝達物質の受容体に作用する薬を使うのが一般的だ。もともとパーキンソン病の治療薬で、適用が拡大された。抗てんかん薬をもとに開発した薬も今年、国の承認を得て発売された。貼り薬も近く実用化される見込みで、薬の選択肢も増えてきた。

一方、関西電力病院の睡眠関連疾患センターの立花直子センター長は「この病気ではない患者に安易な治療がなされる場合がある」と指摘する。服用する量はパーキンソン病よりも少なく副作用も出にくいが、別の病気の患者は適切な治療が遅れてしまうとの考えに基づく発言だ。

立花センター長が重視するのは鉄分の欠乏。「十分な証拠がそろったとは言い切れないが、鉄分を補充する薬を投与すると症状が改善する例も多い」と話す。血液中の特定のたんぱく質を調べれば欠乏の状態は分かるという。ただすぐに効くわけではなく、数カ月間服用しなければならない。

軽症なら、薬に頼らず生活改善で様子をみるケースもある。飲酒や喫煙、コーヒーなどを控え、鉄分の多い食品をとる。寝る前に脚をマッサージしたり、やや遅めに床に就いたりするのも効果があるという。

むずむず脚症候群に対する医師の認識も徐々に上がってきたが、専門家はまだ少ない。どの科を受診すればよいか患者が迷う場合も多いのが実情だ。睡眠外来など訪れても「睡眠時無呼吸症候群」には詳しいが、むずむず脚症候群の患者はあまり診たことがない医師もいる。

滋賀医科大学の宮崎総一郎特任教授は「患者だけでなく医師もまだ勉強不足の状態だ」と指摘する。睡眠は比較的新しい分野で、教育体制も十分とはいえないという。脚の不快感を覚えたら、睡眠の専門医や神経内科などを受診し、症状がよくならない場合は相談の上、むずむず脚症候群に詳しい医師を紹介してもらうのもよいだろう。

(松田省吾)

[日本経済新聞夕刊2012年12月21日付]

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