住所知らない相手にも 年賀状の最新ネットサービス
ポストへの投函も肩代わり
そろそろ年賀状の準備を始める季節。プリンターを用意して一から全部自分でつくるのは面倒だと感じる人も多いだろう。そんな人にはインターネット上で年賀状をつくるサービスを利用してみる方法がある。デザインの作成だけでなく、ポストへの投函(とうかん)まで代わりにやってくれるのが特徴だ。「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では知り合いだが、実際の住所は分からない」といった相手に年賀状を送れるサービスも広がっている。
「全部1回の作業で終わるから楽です」。会社員の舟田佳子さん(38)はここ数年、年賀状サイト「ウェブポ」を利用し続けている。毎年、家族の写真を取り込んで友人や仕事関係の人に年賀状を送っている。
1枚から注文OK
ウェブポではまず1000種類のデザインから気に入ったものを選び、あいさつなどの文章を入力する。相手先の住所を入力すれば宛名面も印刷できる。注文は1枚からでもできる。1枚あたりの年賀はがき代50円と、デザイン料込みの印刷代が78~100円かかる。
できあがった年賀状を出しに出かけるのが面倒ならば、ポストへの投函までウェブポが無料で代行してくれる。もちろん実際の年賀状を確認したり、直筆のメッセージを入れたりしたい場合には、いったん自宅に配達してもらうこともできる。
同様のサービスを手掛ける「挨拶状ドットコム」を利用して年賀状を送っているのが主婦の武藤知佳さん(32)。「自分でつくるときのインク代や手間を考えたら、こっちの方が簡単」と話す。
最近はSNSを通じて知り合いになる人も増えているが、友人になっても住所は公開しないのが一般的だ。しかも直接本人には聞きづらい。そこで、ウェブポや「Yahoo!JAPAN年賀状」では、フェイスブックやツイッターなどの利用者を対象に、住所不明の相手に年賀状を送ることができるサービスを取り扱っている。
年賀状の作成画面で相手のSNSの情報を入力すると、サイトが本人に代わって相手にメールなどで連絡する。相手が年賀状を受け取りたければ、その連絡を通じて住所などの情報を入力し、年賀状が送られるしくみだ。一連の個人情報は年賀状の出し手側には知らされないので、受け取る側でも安心できる。
映画や音楽付けて
ただの年賀状ではつまらない、という人には映画や音楽などの付加価値をつけるサービスもある。
Yahoo!JAPAN年賀状では映画視聴クーポン付きの年賀状が好評という。年賀状に記入されている番号を「ワーナー・オンデマンド」のサイトで入力すると、150作品の中から好きな映画を1本見ることができる。価格は1通198円(はがき代込み)となっている。
ウェブポも同様の仕組みでクラシック音楽付きの年賀状を取り扱っている。1通188円(はがき代込み)で、受け手はショパンやチャイコフスキーなど約40種類の音楽のうち1曲をスマートフォンなどで楽しめる。
あらかじめ決められたデザインでは満足できない人ならば、「郵便年賀.jp」を使ってみる方法もある。年賀状のデザインを自分でつくれる無料ソフト「はがきデザインキット」を提供している。たとえば、まるで毛筆で手書きしたように自由に文字やデザインを描いたり、オリジナルの判子をつくったりできるという。
サイトによっては早期や大口の申し込みで料金が割引になるサービスがある。何かと忙しくなる年末が迫る前に、週末などを使って早めに準備しておきたいところだ。
年賀状は家族や友人、同僚など人とのつながりを再確認できる機会でもある。日ごろの感謝を込めてやり取りしたい。
(経済部 杉原淳一)
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