食の欧米化が影響? 潰瘍性大腸炎を患う人が増加

潰瘍性大腸炎は1日に何度も下痢や腹痛、血便を繰り返す。発症するのは10~20代の若者が多いが、最近は中高年でも増えている。特効薬はないものの、薬の種類は増えている。うまく使えば普段と同じように生活できる状態を長く続けられる。

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が発生し、やがて組織が破壊され、ただれができる。出血を伴うため血の混じった便が出て、下痢や腹痛が起きる。患部が大腸に限定されている点が、小腸などにも炎症が及ぶクローン病との主な違いだ。

頻繁にトイレに駆け込まなくてはならないので、仕事や学校生活などに支障が出やすい。生命には直接関わらないが、生活の質(QOL)を下げる厄介な病気だ。

食の欧米化影響か

原因ははっきりしないが、免疫のバランスが崩れることや食の欧米化が進んだことなどが影響しているようだ。根治療法はなく、国の難病に指定されている。厚生労働省難病研究班の班長を務める東京医科歯科大学の渡辺守教授によると、患者数は年間約5000人ずつ増えており、現在は推定で約13万人に達しているという。

つらい思いをしてきた患者も多いが、「比較的症状の重い患者でも適切に治療すれば、通常の生活ができる場合が多い」と渡辺教授は指摘する。最近3年間でみると、同大病院に通う患者の9割は、病状の変化に合わせて薬の種類と量を変えるなどして治療を続けた結果、症状が長く安定した「寛解」と呼ぶ状態まで改善しているという。

治療は薬が基本だ。「5―アミノサリチル酸」を服用する。欧米では約30年前から使われており、この成分を含んだ商品は「サラゾピリン」「ペンタサ」「アサコール」などがある。ペンタサや国内で2009年に承認されたアサコールは、薬が大腸で溶けやすくなる工夫がされている。渡辺教授は「どれも効果は同じように高い。病状に応じて使う量を調節し、使い続けることが重要だ」と注意を促す。

患者の約7割の人は軽症で薬を使えば改善するが、再発するケースも多い。「薬の量が不足していたり、症状が改善し薬をやめたりしたことが原因だ」(渡辺教授)。従来は下痢などの症状が治まると医師も処方する薬を減らす例も多かったという。

しかし最新の研究で、症状は治まっているように見えても、実は粘膜の炎症やただれが続く患者が多いのが分かってきた。この段階で薬をやめると再び悪化しやすい。内視鏡検査で粘膜がきれいになったことを確認するまで薬の量は減らさないという考え方が現在の主流だ。「血圧の薬と同じで、症状の有無にかかわらず薬を使い続けることが大事だ」と専門家は口をそろえる。

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