会社説明会にネットで参加 就活、遠距離でも安く
就職活動の開始が迫り、そわそわしている大学生も多い。12月1日に一斉に就活が始まると、例年、企業の採用説明会の予約はすぐに埋まってしまう。地方の学生にとっては説明会のたびに東京や大阪に出るのは大きな負担。都心の学生にとっても地方の会社の情報はなかなか得づらい。ウェブサイトを使えばそんな悩みを解消して就活の時間と費用の負担を減らせる。
質問・アンケートOK
経団連の倫理憲章見直しで、来春入社の大学生から就職活動の開始時期が3年生の10月から12月に遅れた。これによって学生は参加できる採用説明会の数が減り、企業も優秀な学生の確保が難しくなっている。今年も12月開始は踏襲され、説明会の開催日の重複も予想される。
そこで増えてきたのがウェブ上の会社説明会だ。時間や距離の制約を越え、一度に最大2000人の学生が利用できる。
ウェブ説明会にはスタジオから生放送するライブ型と、録画をサイトにアップするオンデマンド型がある。ライブ型では説明会の時間になったらパソコンの画面の前で「参加」する。例えばリクルートキャリアが提供する「R-Webinar(リクナビチャンネル)」ではセミナーの講師と説明用のフリップが別々の画像で表示され、どちらを拡大するかをボタンで切り替えられる。チャット機能で講師に質問したり、企業側から学生にアンケートをとったりもできる。録画版では、不要な部分を飛ばして見ることもできる。
リクルートキャリアによると1時間30分のセミナーの平均チャット発言件数は2000件で約8割の学生がチャットに参加する。学生は、どんな学生が参加しているか、他の学生が何を思っているかをチャットを通じて知ることもできる。企業のサイトにすぐつながるボタンもあり、企業もアピールしやすい。
企業が合同で開催する説明会もある。例えば「うちの会社のイキイキ働く女性社員の仕事」ではボッシュ、SMBC日興証券、日本フィナンシャルセキュリティーズなどが、それぞれに企業の魅力を伝える。ほかにも「体育会学生が活躍する企業」や「九州で活躍する先輩のいる企業」をまとめて紹介する番組もあり、自分の興味にあわせて視聴できる。2010年のサービス開始以来、200社以上、学生約15万人が利用し、学生・企業ともに満足度は90%を超える。
キャリア考える動画
就職情報会社ディスコの「就職活動モニター調査」によると、就職活動の交通費は首都圏以外で平均10万円超。ウェブで説明会に参加すれば交通費と時間の負担も大きく減りそうだ。
会社が採用に関する情報を提供できない12月までは、就活準備の番組が中心だ。マイナビは14年卒の大学生を対象に就活準備サイトを運営しており、先輩の体験談や企業のインターンシップ情報を紹介する番組を「マイナビTV」で配信する。
ディスコは昨年6月から「キャリアTV」を展開。セミナー動画のほか、「Campus Ch」では学生の考えをインタビュー動画で紹介する。先輩社員の働く姿や就職準備の動画もある。海外留学生向けにも、日英バイリンガル就職イベント「ボストンキャリアフォーラム」(10月19~21日)の開催にあわせて、ウェブで会場の内容をライブ中継する予定だ。
12年度の就職活動生を対象にした調査では、36.6%がウェブで開催された説明会への参加経験があった。昼間は研究やサークル活動で忙しい学生も早朝や夜間の時間を有効に使える。
今年ウェブ説明会を利用した東京都の大学生、松本一輝さん(22)は「参加できなかった企業の説明会を録画で後から見返せるのがいい。双方向のやりとりがあり、ウェブでも実際の説明会と大差なかった」と話す。
一方で「質問が多くて全く応じてもらえなかったり、サーバーがパンクして説明会をうけられなかったりした」(都内の22歳女子)との声も。本命企業の説明会には足を運び、少し興味のある会社はウェブで参加するという使い分けもありそうだ。
(経済部 平本信敬)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。