行楽の秋　スマホの「カーナビアプリ」の実力は

行楽の秋。見知らぬ土地へクルマで出かける計画をしている人も多いのではないだろうか。そんなときに役立つのがスマートフォン（高機能携帯電話=スマホ）のアプリ（応用ソフト）だ。カーナビゲーションシステムのように道順を調べたり、テーマに沿ったおすすめのルートを表示したりといった便利な使い方ができる。

「手元に最新の地図があると安心できますよね」

スマホの画面を示しながら話すのは千葉県在住の宮崎和幸さん（45）。週末に関東近郊へドライブに出かけることが多く、ナビタイムジャパンのアプリ「ドライブサポーター」を使う。目的地の名称などを入力して道順を検索し、案内開始のボタンを押すだけ。スマホに搭載する全地球測位システム（GPS）でクルマの現在地を取得して地図上に表示し、交差点では音声でも案内する。画面サイズの違いを除けば、カーナビとほぼ同様に使える。

近くのスポットを調べたり、燃費を節約できるルートを検索できたりするのもスマホならでは。しかし、宮崎さんにとって一番助かるのは常に最新の地図情報を利用できる点という。

宮崎さんの愛車にもカーナビはついているが、地図データをDVDから読み込む機種だ。最新データを収録したディスクに数万円もかけて交換する気になれず、古い地図のまま。最新スポットに行くと「（古い地図では）近くに何も表示されず、どうなっているか気になる」（宮崎さん）。それがアプリの場合、スマホの通信機能で最新の地図を呼び出すことができる。

グーグルの「グーグルマップナビ」も最新地図で案内する。同社の他の検索サービスとの連携も便利だ。例えば、「東京スカイツリー」の検索結果の画面から「ルート・乗換案内」のボタンを押すと地図が表れ、スカイツリーまでの道案内を開始する。複雑な交差点などでは「ストリートビュー」で風景写真を見ながら道順を確認できる。

ホンダの「インターナビ　ポケット」は通常の交通情報に加え、他の場所を走っているホンダ車の渋滞情報も取得して案内する。渋滞を避けるルートを選び「到着予想時刻の誤差は5分以内」（同社）という。

カーナビ代わりに使えるアプリだけではない。テーマに沿ったおすすめコースを案内するアプリもある。トヨタ自動車とNHKエンタープライズが提供する「大河ドラマ50ドライブラリー」は大河ドラマゆかりの地を巡るルートを提案する。「平清盛」「天地人」などの作品名を選択すれば、関連スポットの情報や道順を示してくれる。

日産自動車の「ドライブトーク」は車内での会話に一役買うアプリだ。車内のシチュエーションや同乗者の人数を入力すると「好きなクルマのタイプは」「好きなテレビ番組は」といった話題を画面に表示する。渋滞に巻き込まれ退屈な車内で役立ちそうだ。

一見万能な「カーナビアプリ」だが、弱点もある。通常のカーナビは走行中のクルマの速度なども使って現在の位置を特定するが、多くのアプリでは位置情報はGPSのみを頼りにしている。長いトンネルのようにGPSの信号を取得しづらい道では、正しい位置を案内できないこともある。

脇見運転にも注意が必要だ。道路交通法では走行中に携帯電話で通話したり、カーナビの画面を注視したりといった行為を禁止している。操作は安全な場所に停止してからか、同乗者に任せるようにしたい。

もう一つ気をつけたいのが、スマホのバッテリー残量だ。最新情報を常時取得するアプリは通信で電力を多めに消費する。長時間使う場合は充電器が欠かせない。万全の備えで交通ルールを守り、ドライブを楽しもう。

（メディア開発部　諸富聡）