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治りにくい骨折「偽関節」 進む治療法 仮骨育成や自家骨移植、幹細胞使う再生も研究

2012/9/15 日本経済新聞 夕刊

 転倒や交通事故などの際に起こる骨折。軽症でも治るまで約1カ月かかるが、治りにくいタイプだと1年以上になるケースも多い。骨がくっつきにくい場合もあるので、骨折したと思ったら、なるべく早く医療機関を受診し、適切に治療するのが大切だ。

 大阪府内に住む30代のAさんはバイクを運転中に交通事故に遭い、救急病院に運び込まれた。脛(けい)骨が折れており、患部の筋肉も傷めた。治療したが、治りが悪く半年たっても骨はつながらない。さらに様子を見ても元に戻る兆しはなかった。このため主治医は、骨がうまく元に戻らない「偽関節」と診断し、手術をすることになった。

 一般的な骨折治療は添え木やギプスなどでずれた骨を元の位置に戻して固定し、骨が自然に回復するのを待つ。折れた骨の間に未熟な組織である仮骨ができ、そこに石灰成分が入り成熟して戻る仕組みだ。金属のプレートを手術で入れる手法などもある。

骨折の5~10%

 これに対し、偽関節は手術やギプスで固定しても折れた骨がくっつかない。そのまま固まり、あたかも偽物の関節ができたような状態。不安定に動き、そのたびに痛みを感じる。最初の治療から半年たっても骨がつながらず、その後3カ月しても回復に向けた変化が認められない。

 こうした治りにくいケースは、骨折全体の5~10%を占めるといわれている。患者の大半は交通事故や労働災害などが原因だが、「柔道やラグビーの選手で、手の付け根の舟状(しゅうじょう)骨を折り、偽関節になることがある」とスポーツ医学に詳しい大阪厚生年金病院の島田幸造整形外科部長(災害外科担当)は指摘する。血液の流れが遮断されやすく、骨折に気付きにくい場所だ。20年以上患っていることもあるという。

 偽関節になりやすい骨の折れ方は、皮膚から骨が飛び出す開放骨折。細菌感染が起きやすく、回復に重要な仮骨ができにくくなるためだ。長管骨と呼ぶ手足の円筒状の長い骨や脛骨、大腿(だいたい)骨などを折った場合によくみられる。

 一般の骨折治療でも注意が必要だ。針金やネジでしっかり骨がとめられない時や血の巡りがよくない時は治りにくくなる。大阪市立大学の上村卓也病院講師は「骨折部がぐらぐらしないよう固定し、骨への血液の流れを確保することが重要」と話す。

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