「繰り返す相づち」の効用
相手の話をきちんと受け止めたいと思っていても、その内容が複雑だったり、ポイントがずれていたり、未知の世界だったりすると、どう相づちを打っていいやら、困り果ててしまうことはありませんか。
毎回「はあ、そうですか」だけでは聞き流しているようで失礼だし、さりとて「分かります」とも言えません。つい一生懸命なあまり「それはどういうことですか」「なぜ?」「いつからですか」などと質問攻めにしてしまい、話の腰を折って嫌われていたのでは、元も子もありません。
このような困ったときには「繰り返し」の相づちを使ってみてください。
「ふ~ん、○○さんが……」「有楽町の駅ですか……」と、相手の話す言葉をおうむ返しに繰り返すだけ。繰り返しには、関心を持っていますよというサインが込められているので、それだけで相手はもっと話してくれるはずです。そして質問は、その後に付けると流れはスムーズです。
先日も取引先の担当者の話が、どうもピンときません。いささか理不尽です。そこで「繰り返し」で受けた後で「どうしてそうなったのですか」と問い、相手も気持ちよく答えて、お互いに納得しました。これが最初から質問していたら、相手もカチンときていたに違いありません。
祖母が毎度同じ昔話をする際も、いつもこの手でこたえ、満足してもらっていました。
困ったとき、おすすめです。
(コミュニケーション塾主宰 今井 登茂子)
[日経プラスワン2012年7月21日付]