薬の授業、試行錯誤 中学で今年度から義務化薬剤師や企業、支援の動き

文科省が協力要請

文科省は各地の学校薬剤師会に対し、授業を担当する教諭らをサポートするよう要請している。

東京都学校薬剤師会は授業に活用してもらおうと、教材用のリーフレットや「パワーポイント」を作成し、各支部に配布した。井上優美子会長は「中学校の先生でも、意外と知らないことが多い」と話しており、授業の設計に助言したり、要請があれば講師を派遣したりする考えだ。

薬剤師が協力することで、薬の実物を生徒たちに見せることも可能になる。鉄剤とお茶を混ぜ合わせるなど、薬を使った実験もできるという。

製薬会社19社でつくる「くすりの適正使用協議会」(東京・中央)は教材を提供するなどしている。カプセルや錠剤の模型を無料で貸し出すほか、指導者向けの勉強会を07年以降で計約60回開いた。

薬の授業が本格化するのは今年9月以降とみられるが、「教材の貸し出し要請など、中学校からの問い合わせが既に増えている」(同協議会の担当者)という。

兵庫教育大(兵庫県加東市)の鬼頭英明教授(学校保健)は「保護者が薬に関する正しい知識を持っていないため、子供も適切に使えないというケースが多い。学校薬剤師に専門知識を生かしてもらったり、薬の空き箱など身近なものを教材にしたりして、子供が楽しく学べる機会になってほしい」と話している。

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「お茶などで服用」4割が経験、児童・生徒 理解乏しく

くすりの適正使用協議会が2008年4月~11年3月、全国の小中学生を対象に実施した調査(回答数3366)で、薬を正しく使っていない児童・生徒が多い実態が浮かんだ。

「お茶や炭酸飲料で服用したことがある」との回答は小学生が43%、中学生が42%で、ともに4割を超えた。同協議会によると、水ではなく、お茶や炭酸飲料で薬を飲んだ場合、飲み物に含まれる成分と薬の相互作用により、効き目が悪くなったり、副作用が出やすくなったりするおそれがあるという。

中学生の30%は「自分の判断で服用したことがある」としており、同協議会事務局長の松田偉太朗さん(67)は「正しい服用方法を知らないのに、勝手に飲む生徒が多い状況に危機感を感じる」と話す。

中学生だけに聞いた項目では、医師から処方箋をもらって購入する医療用の医薬品について、「自分の判断で服用を中止してよい」と考えている生徒が31%に達した。

医療用と一般用(大衆薬)の違いを知っているのは7%にとどまった。

松田さんは「中学校で薬の教育が義務化されたのを機に、正しい使い方が定着するような授業を進めてほしい」と話している。

(定方美緒、鈴木碧)

[日本経済新聞夕刊2012年7月5日付]

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