「挨拶」は「愛拶」でもある
あいさつは人間関係の基本です。今年の新入社員研修でも、私は「あいさつとお辞儀は人生のパスポートです。あいさつなしには人間関係は始まりません」と話しました。
あいさつをすれば「あなたに心を開いています」という意思表示にもなります。漢字で書くと「挨拶」ですが、私は「愛拶」でもあると思っています。
人の心は鏡です。こちらが相手のことを嫌だと思うと、相手もこちらを嫌いになります。いい人だと思うと、相手もこちらをいい人と思ってくれます。心理学では「好意の返報性」といいます。
嫌だと思われたらこちらの負けです。自分の土俵で仕事をするためには、相手に好意を持ってもらわなくてはなりません。大人の男女なら自分で感情をコントロールでき、相手の気持ちに左右されないはずです。
嫌な相手に会ったときほど、感じのよい笑顔であいさつできるように、感情をコントロールしましょう。簡単なことではありませんが、そのように心がけたら、きっとできるようになります。
相手に好意を持つ工夫は幾つかあります。相手のよいところを見つけるのです。よいところがないと思ったら、たとえばメガネの形がよい、洋服のセンスがよいと考えましょう。
よい人と思えば自然に表情が柔らかくなります。無表情では相手に好感を持ってもらえません。まずは形から心へ。自分から笑顔のあいさつをすることです。
(マナーデザイナー 岩下 宣子)
[日経プラスワン2012年6月2日付]