手帳には薬の豆知識も

発行する薬局によって書式が違う場合もあるが、一般的には氏名や生年月日、血液型、連絡先などのほかに、食べ物・薬のアレルギーや副作用、かかったことのある病気などの履歴を記録する欄がある。

さらに実際の薬の情報を書き残すページが続き、薬の飲み方や簡単な特徴、処方した病院や薬局も分かるようになっている。「食前は食事の30分位前、食間は食事の約2時間後」といった豆知識が付いているものもある。

これまでは、薬局側がお薬手帳に薬の情報を書き込む(シールを貼る場合もある)際に患者が費用を追加負担する必要があり、利用を敬遠する向きもあった。ただ診療報酬改定でこの4月からは費用が服薬歴管理全体に含まれる仕組みになり、薬局側も普及により力を入れるようになった。

それでは、どう有効活用するか。日本薬剤師会の生出泉太郎副会長の指摘は「大事なのはいつも持ち歩くこと、複数持たずに1冊にまとめること」。災害や急病はいつあるか分からない。また、薬の情報が欠けたり、分散したりすると手帳の効用が薄れてしまう。

異なる二つの診療科でそれぞれ痛み止めの薬を処方され、予期せぬ過剰服薬になる場合もある。記入漏れがあると、医師や薬剤師が手帳をみても気づかない。体に悪影響を及ぼす薬の飲み合わせも避けられる。

通院先ごとに近くの薬局で別々の手帳を作る人もいるようだが、1冊にまとめよう。別の薬局の手帳は出しにくいかもしれないが、医療機関も情報共有を重視している。

薬局チェーン、日本メディカルシステム(東京都中央区)の笹嶋勝・調剤事業部統括マネージャーも「どんな薬を飲んでいたか分かれば災害や急病時に的確な治療ができる」と強調する。

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