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若年性認知症、支援徐々に 専門施設やデイサービス

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65歳未満の人が発症する「若年性認知症」の患者や家族をサポートする体制が拡充しつつある。高齢者と区別した若年性専門の支援施設やデイサービスが登場。ボランティア活動など社会参加の場を提供する。診断直後に会社を辞め、生活が崩壊する事態を防ごうと、就労を続けながら退職後に備える動きも出てきた。ただ、病気への社会的な理解が進んでいるとはいえず、早期発見が難しいなどの課題も多い。

4月中旬、さいたま市浦和区のビルの一室。若年性認知症の男性2人が昼食のカレーライスづくりや木彫り、パンフレット製作などに取り組んだ。同市の特定非営利活動法人(NPO法人)「生活介護ネットワーク」が市から委託を受けて昨年11月に設立した同症患者の支援施設「アクティー浦和」の活動だ。

2人は比較的軽度で日常会話に大きな支障はない。元衣料販売業の男性(64)は数年前に発症。「ろれつが回らないことがあるが、ここでは仲間と話せるし、新しいことに挑戦できる」と笑顔だ。

商品作り販売も

現在、同施設に通うのは50~60代の男性3人。社会参加などを目的に週1回集まり、表札や本のしおり、カバーなどを作製して、販売も目指す。理事代表の西村美智代さんは「サポートが必要な人や家族はまだいるはずなので、活動の輪を広げたい」と話す。

40歳以上になれば若年性認知症で介護保険のサービスを利用できる。ただデイサービスなどのプログラムは高齢者を想定しており、体力的に余裕のある若年性患者がなじめないことが多い。このため、若年性を専門とするデイサービスを始めたところもある。

2006年開設の若年性認知症専門デイサービス「いきいき*がくだい」(東京・目黒)には、軽度から重度まで40~60代の約20人が通う。1日の行動計画は利用者らが話し合って決定。近くの商店街や公園などでボランティアの清掃活動も実施している。

運営するNPO法人、いきいき福祉ネットワークセンター理事長の駒井由起子さんは「私たちは利用者の自主的な活動をお手伝いする形。地域の人から感謝の言葉をかけてもらい、活動の励みになっている」と説明する。

厚生労働省は昨年4月、若年性認知症患者の社会参加を促すため、介護サービスの利用者がボランティアで謝礼金を受け取ることを認める通知を都道府県などに出した。同月に開設したデイサービス「わだち製作所」(熊本県荒尾市)では、同症の利用者が野菜などを栽培。近くの病院に納入し、代金を活動費などに充てているという。

患者は女性より男性が多い。働き盛りの世帯主が失職し、配偶者が介護しながら働かざるを得なくなったり、経済的な困難に直面して子どもの進学が難しくなったりすることもある。どう仕事を続けるかが課題の一つだ。

中部地方の大手メーカーに勤務する井上忠さん(仮名、62)は07年に若年性認知症と診断された。自宅近くで道に迷うようになり、仕事上のミスも相次いだ。ただ技能が認められ、危険を伴う工場の生産ラインを離れ、定年退職後に契約社員が働くライン支援の部署に前倒しで異動。今も1年契約で働き続けている。

離職率80~90%

若年性認知症の就労支援のあり方を研究する独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の障害者職業総合センター(千葉市)などが過去5年間に実施した調査によると、患者の80~90%が離職していた。田谷勝夫特別研究員は「認知機能がある間は、配置転換で本人の能力に見合った形で仕事を続けて生活の崩壊を防ぎ、障害者手帳の取得など様々な制度を活用して退職後の生活の準備をするのが望ましい」と話す。

昨年9月、認知症を扱う日本老年精神医学会の専門医を対象に、同センターが実施した調査では、就労支援が奏功した要因として、(1)発症後の早い段階で上司が診察に同行(2)主治医や家族と密に連携(3)産業医の適切な指示――などが挙がった。

若年性認知症の家族会を支援する新潟県南魚沼市立ゆきぐに大和病院の宮永和夫院長は「病気への理解は十分ではなく、まずは社会に知ってもらうことが重要」と指摘。「社員が患者だと気付かなければ会社が損失を被ることもある。早い段階で診断し、社内でサポートする仕組みが求められる」と話している。

うつに似た症状、早期発見難しく

若年性認知症の原因疾患は脳卒中などの脳血管障害が4割で最も多い。65歳以上に多いアルツハイマーと合わせると、全体の4分の3を占める。初期症状を早く見つけ、専門医を受診することが重要だが、うつ病に似た症状も見られ、鑑別が難しいことが少なくない。本人や家族には多岐にわたる支援も必要だ。

厚生労働省の研究班が2009年にまとめた調査によると、全国の推計患者は約3万7800人。平均年齢は51歳で人口10万人あたり47.6人となる計算で、現在は若干増えているとされる。主な症状は、脳血管性の場合、認知機能や意欲の低下、性格の変化など。アルツハイマー型は新しい情報を覚えられず物忘れなどが目立つ。

早期発見のため、「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれる簡易検査をスクリーニングに使う産業医もいる。一定の点数以下なら認知症を疑い専門医の受診を勧めるという対応が一般的だ。十数社の産業医を務める浅川クリニック(東京・江東)の浅川雅晴院長は「規模の大きい会社では毎年数人が見つかる」と説明。「認知症に根治薬はないが、薬で進行を遅らせることはできる。近年は新薬の発売が相次ぎ、治療の幅が広がった」と話す。

若年性認知症の支援は医療、介護、障害、就労、年金など多分野にまたがるのが特徴。このため東京都は09~11年度、縦割りではなく相談窓口を一本化し、本人や家族との面談を通じて必要な支援につなげるモデル事業を実施した。都は事業の有効性が確認されたとして、相談を受ける総合支援センターを今月18日に開設する。

(編集委員 木村彰、今井孝芳)

[日本経済新聞夕刊2012年5月10日付]

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