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40歳過ぎたら…大腸がん検診 毎年受けて

2012/2/4 日本経済新聞 夕刊

受診率、男性27%

便検査では進行がんの1割、早期がんは半分くらいが反応が出ない。がんではないのに、疑いありという結果が出ることもある。専門医が内視鏡で腸を直接調べれば、がんを見落とす確率はかなり低くなる。痛いのではと尻込みする人もいるが、経験豊富な医師にやってもらえれば、痛みはほとんどない。ただ、高齢者などでは下剤を飲むのが苦痛だと訴えるケースはあるという。

利点の大きい大腸がん検診だが受診率は低調だ。2010年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、40歳以上の受診率は男性が27.4%、女性が22.6%にとどまった。米国の半分ほどで、韓国よりも低い。便検査で疑いありでも、面倒くさがったり、痔(じ)のせいだと思い込んだりする人が多いようだ。しかし家族の中に50歳未満で大腸がんになった人がいると発症しやすいため、「当てはまる人は1度は内視鏡検査を受けた方がよい」と京都府立医科大学の石川秀樹特任教授は話す。

実は内視鏡検査はポリープやがんを発見するだけでなく切除し治療できる利点もある。針金の輪のような器具で根元を切る。大腸がんはポリープが少しずつ大きくなってがん化することが多く、2センチ以上なら半分はがんになっているという。石川特任教授は「ポリープを早めに切除すれば、大腸がんの芽を摘み取ることにもなる」と指摘する。平らながんでは病変部を膨らませてから切り取る。

ただ自治体などが手がけるがん検診では、最初から内視鏡検査をする方法は推奨されていない。まれに検査中に大腸に穴が開いたり、出血したりすることがあるからだ。1回の検査に2万~4万5千円ほどかかるなど費用もかさむ。便検査で疑いありと診断された場合は内視鏡検査も健康保険の適用になる。石川特任教授は「こうした人は検査を受けないのは損だと思ってほしい」と訴える。

がんが見つかれば定期的に内視鏡検査を受けるよう指導される。ポリープが見つかった人は大腸がんになりやすい傾向があるため、内視鏡手術で取り除いたとしても、2~3年に1回は検査を受けた方がよい。定期的な検査でポリープやがんの発生の見逃しをほぼ避けられるという。

大腸がんは胃がんと比べてゆっくり進行するため、1年以内に急激に悪化することはほとんどない。早期発見できれば内視鏡手術で済み、体への負担も少ない。しかし自覚症状が表れたころには、2割の人が肝臓に転移している。こうした事態を招かないためにも、定期的な受診をお勧めしたい。

(編集委員 青木慎一)

[日本経済新聞夕刊2012年2月3日付]

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