皮膚に慢性炎症、難病の「乾癬」 乾燥・風邪で悪化、冬場は要注意

皮膚に慢性の炎症が起こる難病の「乾癬(かんせん)」。国内では中高年の男性を中心に約10万~20万人の患者がいるとされ、増加傾向にある。根治は難しい病気だが、最近では重症患者向けに新しい治療薬も登場している。ただ皮膚の乾燥や風邪などで症状が悪化することがあるので、冬場は注意が必要だ。

この病気の典型はこんな感じだ。まず髪の生え際が赤く盛り上がり、銀白色のかさぶたが発生。しばらくすると、ぼろぼろとはがれ落ちるようになる。最初は「ふけかな」と思うが、皮膚の盛り上がりが気になり近くの病院を受診。そこで皮膚科医師から「乾癬ですね」と、耳慣れない病名を告げられる。「脂漏性皮膚炎」と見極めるため、診断に時間がかかる例もある。

他人にうつらず

体の様々な場所に赤く盛り上がった斑点ができる(五十嵐敦之氏提供)

乾癬の主な症状は皮膚が赤くなる、盛り上がる、ふけのような白いかさぶたができるなど。こうした症状は体のあちこちに出るが、初期に多いのは頭皮や肘、膝。医師は赤く盛り上がった部分の大きさや厚みから乾癬かどうか判断する。発症部位にかゆみが出るのは約半数だ。

基本的に生命にかかわることはないが、生活の質の低下を招き、「周囲の目が気になる」「好きな服が着られない」などと悩むケースも少なくないという。病名が感染と同じ読み方なので、他人にうつると誤解されがちだがうつることはない。

患者は世界で1億2500万人以上いるとされ、欧米では発症例も多い。一方、日本では500~1000人に1人の割合でしか発症しないこともあり、なじみが薄い。製薬会社のヤンセンファーマ(東京・千代田)が実施した調査では、この病気を知っていたのは約3割。発症時期は男女とも40~50歳が多く、男女比はおよそ2対1。女性では20歳ごろに小さな発症のピークが見られるが、理由は分かっていない。

皮膚は乾燥や温度、病原体などから体を守っている。皮膚では新しい細胞が常に作られ、古くなった細胞は垢(あか)となってはがれ落ちる。正常な人は、皮膚細胞が作られてからはがれるまで約1カ月かかるが、乾癬患者は4、5日ほどと極めて短い。次々に新しい細胞ができるスピードが異常に上がり、ふけのようにぼろぼろとはがれる。

乾癬の発症原因は未解明だが、関係する遺伝子は見つかり始めている。ただ遺伝ですべてが決まるわけではない。親が乾癬で子供も乾癬を発症する割合は、欧米で20~40%、日本は5%程度。食生活やストレス、肥満など様々な要因が絡み合って発病する。最近解明が進んだのが、外敵から身を守るはずの免疫システムの異常。免疫関連物質が過剰に働くことで、発症につながると考えられている。

日本人患者の約90%がかかるのが「尋常性乾癬」。尋常性とは普通という意味だ。悪化すると皮膚全体の80%以上が赤くなる「乾癬性紅皮症」などになる。まれだが厚生労働省の難病に認定されている「膿疱(のうほう)性乾癬」になるケースもある。重症で急激な発熱が多発する。

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