床ずれや潰瘍、陰圧療法に注目

床ずれ(褥瘡、じょくそう)や糖尿病の潰瘍といった、治りにくい慢性の傷の治療法が大きく変わってきた。中でも、注目を集めるのが、特殊な被覆材などを傷にはって密閉した後に、吸引して圧力を下げて周辺組織の再生を促す「陰圧療法」だ。治療期間も短くでき、患者の負担も軽くなる。慢性の傷はきちんと治療しないと繰り返し、悪化させやすい。専門の医師の診察を早めに受け、適切に処置しよう。

「やっと傷の状態が落ち着いた。これからリハビリに専念できる」。都内在住の高木進さん(仮名、21)はほっとした様子で話す。尻にある尾骨の上にできた褥瘡治療の手術を杏林大学病院で受け、7月に退院した。

高校生のときの交通事故で脊髄損傷となり、車いすを使いながら受験勉強などに励んでいた。同じ姿勢で長時間、腰から下を圧迫していても痛みを感じないため、尾骨の上あたりに褥瘡ができた。一度は治ったが、傷口に菌が感染し炎症で高熱が出るなど、悪化と治癒を繰り返した。

今年3月、傷が大きくなったため褥瘡治療に力を入れている杏林大学病院を探して受診し、患部の圧力を専用機器で下げて陰圧する治療を受けた。主治医の大浦紀彦・准教授は「褥瘡や潰瘍などの治療には、陰圧療法を使うと効果的だ」と話す。

傷には大きく分けて2種類ある。切り傷や軽いやけどなどの急性の傷は、そのままにしておいても通常は1~2週間で治る。これに対して2~3週間しても体の治癒力だけでは治らない傷を慢性(難治性)の傷という。長時間の圧迫などで毛細血管などの血流が途絶え、周辺の組織が壊死(えし)してしまう床ずれや、糖尿病の潰瘍などが代表例だ。

陰圧療法は、慢性の傷の中でも細菌感染があったり、組織の壊死で傷口がふさがりにくかったりした場合などに適しているといわれる。