マイティ・ソー神様がスーパー・ヒーローに

傲慢な戦士の神が正しいヒーローに成長する!

主演のクリス・ヘムズワース(右)とナタリー・ポートマン TM& (C)2010 Marvel (C)2010 MVLFFLC. All Rights Reserved.

アメリカン・コミックスの「スパイダーマン」「アイアンマン」などを映画化、着々と成功を収めるマーベル・コミックスの新ヒーロー、北欧神話の神だというマイティ・ソーが主人公のコミック・ヒーローもの。

監督が、シェークスピア劇に新風を吹き込む劇団を旗揚げした演出家、「ハリー・ポッター」に出演する俳優でもあるケネス・ブラナー。彼とコミックの取り合わせがユニークだ。

神の世界アスガルドの王(アンソニー・ホプキンス)の息子ソー(クリス・ヘムズワース)は最強の戦士。けれど身勝手な思い上がりで戦乱の危機を招き、怒った父王は武器も力も奪って彼を地球に追放したが、裏にはソーの弟の陰謀が隠れていた。

地球の荒野に墜(お)ちたソーは、不可解な現象の調査に来た天文学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)らの調査隊と出会い、彼女に惹(ひ)かれることで傲慢さがカゲをひそめていく。ここに政府の秘密機関の暗躍、ソーの護衛にやって来た三銃士(中の一人が浅野忠信)たちの他に、ソーの弟が送った戦闘マシーン“デストロイヤー”が加わって3D映像がいきる戦闘が始まる。

神話の世界のお家騒動をシェークスピア史劇を思わせる仕立てにしてジェーンの集めたデータをめぐる現代の騒動と絡ませる。この異質な取り合わせでブラナーは、アメコミの映画化に新味を出そうとしているが成功したとは言い難い。

神の国と人間界を結ぶルートがあって厳重管理の番人がいる、というようなシーンに使われる映像が美しいが、CGの使いすぎで厚みのないのが物足りないし、スーパー・ヒーローも神さままでいくと、どうも馴染(なじ)めない。劇場公開版は3Dと2Dの2種類がある。

1時間55分。

★★

(映画評論家 渡辺 祥子)

[日本経済新聞夕刊2011年7月1日付]

★★★★★ 今年有数の傑作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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