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新幹線で患者搬送、「ドクタートレイン」が活躍

2011/6/17 日本経済新聞 夕刊

大都市で先進医療を受ける重病患者や、1分1秒を争う重症患者の長距離搬送――。時に生死を分ける患者の搬送で3月、新たな担い手「ドクタートレイン」が登場した。九州新幹線の全線開業に合わせてJR九州が導入。新幹線の持つ速さと安全性は、地方の救急医療に不可欠な存在になってきている「ドクターヘリ」と併せ、患者の長距離搬送に威力を発揮しそうだ。

患者搬送に使う九州新幹線の多目的室

4月下旬のある朝、鹿児島市立病院に入院していた1歳の男児が、呼吸を補助するコンプレッサーなどの機器を設置した九州新幹線の多目的室に横たわり、鹿児島中央駅から東京に向けて出発した。「気管軟化症」という呼吸疾患を患い、都内で先進的な手術を受けるためだ。

親とともに同行した同病院新生児科の平川英司医師によると、飛行機による移動は気圧変化の問題で「リスクが高すぎる」と判断。JRと調整の上、6時間半の道中、東海道・山陽新幹線でも多目的室を利用し、東京駅から救急車で到着した都内の病院で無事、手術を受けることができた。

「途中下車」も可能

3月12日、九州新幹線に導入されたドクタートレインは、授乳や着替え、気分がすぐれない時などに使う個室の多目的室に着目した地元医師会などの働き掛けがきっかけ。福田稠・熊本県医師会長は「地方の患者が都市部の医療機関にアクセスできる環境は不可欠だ」と話す。

ドクタートレインといっても、医師らが乗り込み治療しながら運ぶドクターヘリ、カーとは異なり、緊急時の処置と患者搬送に限られる。機動性の面ではドアツードアのドクターヘリに劣るが、新幹線はほとんど天候に左右されず、夜間も搬送できる。「何か起きた時は途中下車して病院に駆け込むなど緊急対応ができる」(平川医師)安心感があるのも利点だ。

また救急車やドクターカーよりは迅速だ。鹿児島から福岡まで車では約4時間かかり、「患者だけでなく、往復するスタッフも疲弊する」(同)が、新幹線では約100分だ。

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